運動初心者のシニア向け「暗闇フィットネス」

　うす暗い中、きらびやかに光るミラーボールと大音量の音楽。都市部で流行中の「暗闇フィットネス」が豊橋市神野新田町にもある。会員の平均年齢は63歳。全国でも珍しい運動初心者のシニア向けスタジオだ。流れるのは70、80年代の邦楽ヒット曲や歌謡曲。非日常の感覚に浸りながら、軽快に体を動かしている。

　「きょうは、マッチがいい」。会員のリクエストに応え、ヒット曲「ギンギラギンにさりげなく」（近藤真彦）がかかる。６月中旬、50～70歳代の女性７人が時折、歌詞を口ずさみながら、軽やかに腕を振り上げ、足をリズムに合わせて動かす。「ＹＯＵＮＧ　ＭＡＮ（Ｙ．Ｍ．Ｃ．Ａ．）」（西城秀樹）がかかると「少し追い込んで心拍数を上げていきます」とインストラクター。会員らのテンションも最高潮だ。
　昨年５月にオープンした初心者向けダイエットスタジオ「Ｌｉｖｅフィットネス」は、理学療法士の横山みすみさん（35）＝同市＝が知人でフィットネスインストラクター中澤ひとみさん（32）＝同市＝の協力を得て立ち上げた。
　高齢者福祉施設で勤務した経験のある２人が掲げるのは「デイサービスとフィットネスクラブの間」。「運動ができない自分を見たくない」という初心者に、そのハードルを超えてもらうため、考えたのが「暗闇」だった。
　周囲が気にならないため、周りと比較せず、思い切り体を動かすことができる。まるでクラブにいるような非日常の高揚感も好評だ。
　会員は入店後、まず血圧を計測。有酸素運動のダンスを30分間と、体幹を鍛え、尿漏れや失禁対策にもなる筋トレなどを組み合わせたプログラムで汗を流す。膝や腰に不安がある人は、いすに座りながら体を動かすコースもある。
　「動きはシンプルに安全で効果的に」と、２人が考案した動作は、振り付けを覚え、それを繰り返すのではなく、インストラクターの真似をして手足を動かすだけ。なじみのある邦楽の振り付けを織り交ぜることで、自然と体が動いていく。
　運動を習慣化するため、会員には毎回予約を取ってもらう。半径５㌔以内なら送迎し、長く続けられるよう工夫する。
　家に引きこもりそうな人らの「居場所づくり」も目的の一つ。店内の半分を飲食、休憩スペースにする。エクササイズのあとは、カラオケ教室も開き、会員同士の交流も重視している。
　スタッフのほとんどがインターハイ出場経験者のスポーツウーマン。シニアだけでなく、子どもや若者向けのダイエットプログラムも用意する。「運動する楽しさを知ってほしい」と横山さん。今なら１周年を記念し、入会金が半額の２５００円、初月会費１９８０円の特典がある。問い合わせはＬｉｖｅフィットネス（０５３２・39・７５３０）へ。
（飯塚雪）