三河港でテロ対策合同訓練

　豊川市御津町の三河港御津ふ頭と周辺海域で26日、豊橋署や名古屋海上保安部三河海上保安署など関係機関合同によるテロ対策合同訓練を実施した。国内で国際的な行事を控える中、実践形式で緊急時の対処能力の向上を図った。
　11月22、23日に名古屋市でＧ20外相会合が開かれるのを見据え、外国人グループが外務大臣を狙うという想定で実施。最初にテロリストが紛れ込んだとされるクルーザーを捜査。船員一人ひとりを税関職員や入国審査官らが身体や手荷物検査、聞き込みを行い、犯人捜しを行った。
　挙動不審な一人の男が、指紋認証で犯人と判明。男が刃物を手に暴れ出すと、待機していた機動隊が囲んで取り押さえ、パトカーで連行した。また、取り残されたリュックサックから爆発物の反応が示され、頑丈な装甲で覆われた処理車で回収する訓練も行われた。
　最後に海上訓練も行われ、三河湾でパトロールしていた巡視船が不審な小型船を発見。信号やアナウンスで停船命令を促すと、小型船の男がライフル射撃で応戦。県警などの船３隻がスピードを上げて追跡し、巡視船も沖合への逃亡を阻止するため航路をふさぎ、確保に至った。
　Ｇ20会合のほか、９月にはラグビーＷ杯、来年には東京五輪と国際的なイベントが控える。三河港港湾危機管理副担当官で、三河海上保安署の中田英二署長は「気迫が見られる訓練で卓越した技術も披露され、いざという時は成果が十分に発揮されるはず」と評価。来月27日には蒲郡港に豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」が初寄港することも挙げて「関係機関で連携を密にしておく必要がある」と呼び掛けた。
（由本裕貴）