豊橋でハートの日に「生」を考えるイベント

　ハートの日（８月10日）にちなんだ催し「第20回ハートの日」（東愛知新聞社など後援）が、豊橋市藤沢町のロワジールホテル豊橋で開催され、ヘルスチェック、救急蘇生法講演会や講演会、座談会などがあり、約７００人が訪れた。
　「ハート講演会」では、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんが「生きているってすばらしい」と題して講演。まず、親交のあった女優の故・樹木希林さんの話を披露した。
　２００４（平成16）年12月25日から仕事でプーケットに滞在することになっていた樹木さんは、孫を呼んで一緒に過ごし、娘には夫婦二人でのんびりしてもらいたいと思っていたが、乳がんが発覚し、仕事も宿もキャンセルしたという。直後の26日にはスマトラ沖地震が起こり、プーケットは津波に襲われたことを知り樹木さんは「行っていたら取り返しのつかないことになっていた。がんになり、孫を救うことができ、意味があった」と話していたという。
　また、ある式典に出席するため泊まっていたホテルで、着物の帯締めを忘れたことに気づき、部屋の電気ポットのコードのコンセントを中に隠して帯締めとして使ったところ、出席者たちから褒められたため、コンセントを外に出して見せたという。「何かが起きてもグズグズ言わないこと、失敗を大事にすること、そして自分の人生を人に決めさせない樹木さんだった」と述懐し、昨年入院していた病院から自宅に戻ることを希望し、帰宅して24時間以内に亡くなったという。
　また、鎌田さんは「介護をしている嫁に、近所の人が『あんた、えらいなぁ』と言ったら、爺ちゃんを施設に入れようかと思っていたけど、もう１回頑張ってみようという気になる」と話した。「脳卒中になったからできない、ではなく、脳卒中になったにもかかわらず前を向いて過ごしてほしい。『にもかかわらず』は人生を逆転させる言葉」とも語り、言葉の大切さに触れた。
　さらに、生活習慣については「体を動かす人が少ない」と話し、「パピプペポ」を口の先端を意識して言えばよいことや「鎌田式『スクワット』と『かかと落し』」を来場者に伝授し、大きな拍手を浴びた。
　会場では、豊橋東ライオンズクラブ（廣野隆也会長）による献血活動もあった。（小島幸子）