田原市図書館が文科大臣賞

　図書館の行うレファレンスサービス（調べ物の相談対応業務）の成果事例を検証し、ノウハウを高める目的で開催されている「第５回図書館レファレンス大賞」（実行委員会主催）で、全国の公共図書館、大学図書館などが応募した22件の中から、田原市図書館の「まちづくりにつながる行政・議会支援サービス」が最高の文部科学大臣賞を受賞した。
　２００２（平成14）年の図書館開館時から、現在の市中央図書館にレファレンスカウンターを設け、利用者の地域住民らに対応。今回、応募した行政や議会への支援サービスは12年以降に順次始めた。
　大きな自治体では議会図書館（室）の専任司書らがレファレンスを担うが、他業務を兼務しながら職員５人で市職員や市議の依頼に対応。積極的に図書館の活用を呼び掛け、18年度は行政、議会で最多の78件を受け付けた。
　最近の事例として、行政支援では、定住・移住希望者らとの橋渡し役となるサポーターを導入している自治体や、民間活力を活用した地域活性化について調査したり、昨年行われたサーフィンの世界大会時に関連資料などを館内に展示したりした。
　市の計画案に対し、市民らから意見を求めるパブリックコメントも館内に応募用紙を用意、関連資料を置いて市民らが意見を出しやすい環境をつくっている。
　議会支援は本格的に始めて４年目。これまでに議会ＢＣＰ（業務継続計画）や、病児保育・病後保育の現状などに関することや、一般質問の際に調査依頼があり、本や新聞記事、雑誌の論文などを提供する。市議らの政策づくりなどに役立っているという。市議会を紹介する展示も館内で行う。
　田原、三重県鳥羽両市を結ぶ伊勢湾フェリーの存続が問題になった際、「図書館ができることはないか」と考え、２０１０年、利用を促進しようと展示会を開催。行政・議会支援サービスを本格的に始める下地になったという。
　開館時からレファレンスサービスに携わる職員らの存在も大きく、是住久美子館長は受賞に「職員が長年、こつこつやってきたことが評価され、うれしい。田原の事例を全国の皆さんに知ってもらうきっかけになれば」と話し、「レファレンスサービスはまだ一般的ではないので、日頃の調べ物を図書館に相談してもらえれば」と期待している。
（中村晋也）