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特殊詐欺ルポ㊦

カテゴリー:特集

愛知県警が配布している被害防止マニュアル
愛知県警が配布している被害防止マニュアル

振り込みからカード狙いへ

 警察と金融機関の連携でATMを使った振り込め詐欺が減少する一方で、昨年から新たな手口の詐欺が急増している。オレオレ詐欺の進化型、「カード狙い」だ。
 昨年、豊川市は特殊詐欺被害額が倍増し、6115万円(前年比2715万円増)は東三河域内ワースト。全15件のうち7件がカード狙いだ。
 「どんどん新しい手口が出てくる。犯人とのいたちごっこ」と豊川署の担当官は頭を抱える。「『オレオレ』と息子を語る電話は少なくなった。代わりに増えたのが警察官や役所、金融機関職員を装った電話」
 「口座が不正に使われている恐れがあります。これから自宅へ伺いますのでキャッシュカードと暗証番号を書いた紙を封筒に入れておいてください」と独り暮らしの高齢者をターゲットに電話し、警察官などを名乗って強引に自宅へ押しかける。
 用意された封筒を受け取って確認するそぶりを見せ、「封印するので印鑑を取って来てください」「あ、はい」。その隙に別の封筒とすり替える。
 その瞬間から24時間ごとに引き出し限度額約50万円が引き出され続ける。被害者が気付くまで。
 豊川署は「『キャッシュカード』『暗証番号』という言葉が出てきたら詐欺だと思ってほしい。警察官はそんな電話を掛けない。不審な電話が来たらすぐに110番で知らせてほしい。犯人が近くにいる可能性がある」と呼び掛ける。
 1月20日夕、同様の手口で豊川市在住の70歳代女性が身長約170㌢、推定50歳代でベージュのスーツを着た短髪の男にキャッシュカードなどが入った封筒をだまし取られ、計110万円が引き出された。豊川署は男の行方を追っている。

 大藏宏修・豊橋署生活安全課警部補はカード狙いの対策について、「自宅の固定電話を留守電設定にしてほしい。犯人は留守電の音声ガイダンスを聞けば電話を切る。メッセージを残すこともない」と語る。「被害に遭っているのは情報弱者。高齢者を1人にせず、家族や地域の人が最新の手口を知らせてほしい」
 高齢者の老後資金を食い物にする詐欺集団。被害者の涙を黙殺し、今日も名簿を片手に電話機のボタンを押す。「もしもし、愛知県警ですけど」―。オレはもう「オレ」とは言わない。(おわり)
(木村裕貴)

振り込みからカード狙いへ

 警察と金融機関の連携でATMを使った振り込め詐欺が減少する一方で、昨年から新たな手口の詐欺が急増している。オレオレ詐欺の進化型、「カード狙い」だ。
 昨年、豊川市は特殊詐欺被害額が倍増し、6115万円(前年比2715万円増)は東三河域内ワースト。全15件のうち7件がカード狙いだ。
 「どんどん新しい手口が出てくる。犯人とのいたちごっこ」と豊川署の担当官は頭を抱える。「『オレオレ』と息子を語る電話は少なくなった。代わりに増えたのが警察官や役所、金融機関職員を装った電話」
 「口座が不正に使われている恐れがあります。これから自宅へ伺いますのでキャッシュカードと暗証番号を書いた紙を封筒に入れておいてください」と独り暮らしの高齢者をターゲットに電話し、警察官などを名乗って強引に自宅へ押しかける。
 用意された封筒を受け取って確認するそぶりを見せ、「封印するので印鑑を取って来てください」「あ、はい」。その隙に別の封筒とすり替える。
 その瞬間から24時間ごとに引き出し限度額約50万円が引き出され続ける。被害者が気付くまで。
 豊川署は「『キャッシュカード』『暗証番号』という言葉が出てきたら詐欺だと思ってほしい。警察官はそんな電話を掛けない。不審な電話が来たらすぐに110番で知らせてほしい。犯人が近くにいる可能性がある」と呼び掛ける。
 1月20日夕、同様の手口で豊川市在住の70歳代女性が身長約170㌢、推定50歳代でベージュのスーツを着た短髪の男にキャッシュカードなどが入った封筒をだまし取られ、計110万円が引き出された。豊川署は男の行方を追っている。

 大藏宏修・豊橋署生活安全課警部補はカード狙いの対策について、「自宅の固定電話を留守電設定にしてほしい。犯人は留守電の音声ガイダンスを聞けば電話を切る。メッセージを残すこともない」と語る。「被害に遭っているのは情報弱者。高齢者を1人にせず、家族や地域の人が最新の手口を知らせてほしい」
 高齢者の老後資金を食い物にする詐欺集団。被害者の涙を黙殺し、今日も名簿を片手に電話機のボタンを押す。「もしもし、愛知県警ですけど」―。オレはもう「オレ」とは言わない。(おわり)
(木村裕貴)

愛知県警が配布している被害防止マニュアル
愛知県警が配布している被害防止マニュアル

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