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僕は殺していない・供述ルートをたどる①

カテゴリー:特集

田邉氏の停車位置からの光景。鉄塔手前の車の位置にサファリがあった=豊川市白鳥町で
田邉氏の停車位置からの光景。鉄塔手前の車の位置にサファリがあった=豊川市白鳥町で
男児が乗っていたサファリ。フロント部分にはピカチュウの人形
男児が乗っていたサファリ。フロント部分にはピカチュウの人形

ピカチュウに供述誘導の影

 豊川市幼児殺害事件の田邉雅樹受刑者による再審請求が棄却されてから1年がたった。無実を訴える田邉氏や弁護団、支援者の戦いが続く中、筆者は田邉氏の供述内容を見直し、ドライブレコーダーも使って犯行ルートを検証した。新たな謎も踏まえ6回にわたって迫る。

 2002年7月28日未明、田邉氏は豊川市の遊戯施設駐車場で男児を連れ去り、三河湾に投棄したとされる。筆者は供述内容に沿って、田邉氏が犯行のために走った道のりをたどった。事件当時の深夜1時過ぎに比較的交通量が近い休日の午後3時台に検証した。
 白鳥町の遊戯施設駐車場が犯行のスタート地点だ。ワゴンRで寝ていた田邉氏は、近くのサファリ(外車)にいた男児の泣き声に立腹し、略取したという。車間距離は8・8㍍。店の照明で明るく、駐車場は8割近く車で埋まり、近隣の夏祭りの直後で若者も多かった。しかし泣き叫ぶ男児を抱きかかえ、8・8㍍の距離を往復する田邉氏を見た人はいない。指紋などの物的証拠もない。
 開いたサファリの助手席の窓から男児を連れ出した田邉氏は、この時のことを次のように供述している。「人か動物か分かりませんが、ダッシュボードに手の平ぐらいの人形が置いてあるのがフロントガラス越しに見えた。UFOキャッチャーの景品くらいの大きさで、何の人形か、布だったのかビニールか、色も覚えていません」。実際、車のフロント部分には黄色の人形があった。ポケットモンスターの人気キャラ・ピカチュウだ。
 当時36歳の田邉氏には小学生と幼稚園に通う2人の子どもがいた。本人には未確認だが、子育て世代に広く知られるピカチュウを「分からない」ことに違和感を覚える。照明で明るいのに「色も覚えていない」のは不自然だ。まして、略取に及ぶ緊張状態で人形を目視できる精神的余裕があることすら疑問だ。
 弁護団は他のえん罪事件の事例から、検察が犯行の筋書きを誘導し、供述調書を作ったと指摘する。ピカチュウを知らない検察官がサファリに置かれた人形を把握し、田邉氏に人形を目にしたことを供述させ、前記のようなあいまいな調書が生まれたとも推測できる。田邉氏の犯行が事実なら「ピカチュウの人形があった」か「人形には気付かなかった」と答えるのが自然だろう。
 これとは別に、駐車場での供述には明らかな矛盾がある。
(由本裕貴)
(2回目以降は本紙をご覧ください)

ピカチュウに供述誘導の影

 豊川市幼児殺害事件の田邉雅樹受刑者による再審請求が棄却されてから1年がたった。無実を訴える田邉氏や弁護団、支援者の戦いが続く中、筆者は田邉氏の供述内容を見直し、ドライブレコーダーも使って犯行ルートを検証した。新たな謎も踏まえ6回にわたって迫る。

 2002年7月28日未明、田邉氏は豊川市の遊戯施設駐車場で男児を連れ去り、三河湾に投棄したとされる。筆者は供述内容に沿って、田邉氏が犯行のために走った道のりをたどった。事件当時の深夜1時過ぎに比較的交通量が近い休日の午後3時台に検証した。
 白鳥町の遊戯施設駐車場が犯行のスタート地点だ。ワゴンRで寝ていた田邉氏は、近くのサファリ(外車)にいた男児の泣き声に立腹し、略取したという。車間距離は8・8㍍。店の照明で明るく、駐車場は8割近く車で埋まり、近隣の夏祭りの直後で若者も多かった。しかし泣き叫ぶ男児を抱きかかえ、8・8㍍の距離を往復する田邉氏を見た人はいない。指紋などの物的証拠もない。
 開いたサファリの助手席の窓から男児を連れ出した田邉氏は、この時のことを次のように供述している。「人か動物か分かりませんが、ダッシュボードに手の平ぐらいの人形が置いてあるのがフロントガラス越しに見えた。UFOキャッチャーの景品くらいの大きさで、何の人形か、布だったのかビニールか、色も覚えていません」。実際、車のフロント部分には黄色の人形があった。ポケットモンスターの人気キャラ・ピカチュウだ。
 当時36歳の田邉氏には小学生と幼稚園に通う2人の子どもがいた。本人には未確認だが、子育て世代に広く知られるピカチュウを「分からない」ことに違和感を覚える。照明で明るいのに「色も覚えていない」のは不自然だ。まして、略取に及ぶ緊張状態で人形を目視できる精神的余裕があることすら疑問だ。
 弁護団は他のえん罪事件の事例から、検察が犯行の筋書きを誘導し、供述調書を作ったと指摘する。ピカチュウを知らない検察官がサファリに置かれた人形を把握し、田邉氏に人形を目にしたことを供述させ、前記のようなあいまいな調書が生まれたとも推測できる。田邉氏の犯行が事実なら「ピカチュウの人形があった」か「人形には気付かなかった」と答えるのが自然だろう。
 これとは別に、駐車場での供述には明らかな矛盾がある。
(由本裕貴)
(2回目以降は本紙をご覧ください)

田邉氏の停車位置からの光景。鉄塔手前の車の位置にサファリがあった=豊川市白鳥町で
田邉氏の停車位置からの光景。鉄塔手前の車の位置にサファリがあった=豊川市白鳥町で
男児が乗っていたサファリ。フロント部分にはピカチュウの人形
男児が乗っていたサファリ。フロント部分にはピカチュウの人形

カテゴリー:特集

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