県独自の緊急事態宣言 きょう午後発令へ

　県は９日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、県独自で「緊急事態宣言」を10日午後に発令することを決めた。また、国に対しても改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象区域入りを求め、調整を進めていることを明らかにした。
　大村秀章知事が記者会見で発表した。
　県の感染者数は８日現在で延べ２８０人。うち入院中が１６８人（軽症と中等症１６２人、重症６人）となっている。死者は21人。
　政府は７日、東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、千葉県、兵庫県、福岡県を指定地域に緊急事態宣言を出した。愛知県は「感染者が爆発的に急増していないこと」「感染ルートが不明な人が比較的少ないこと」などから、地域から外れた。
　一方で、愛知よりも感染者が少ない兵庫、埼玉、福岡の各県が指定されたこと、地理的、経済的理由を背景に、東京や大阪への人の移動が多いことから、名古屋市の河村たかし市長が強い不満を表明したほか、各団体からも国の地域指定を求める声が相次いでいた。この１週間は患者が急増しており、県議会各会派も緊急事態宣言対象区域への指定を求める要望を出していた。
　これらの状況を踏まえ、県は対象区域入りを国に申し入れるとともに、県独自の宣言を出すことで、県民に強く注意喚起することにした。週末を控えた10日午後１時から新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開いて正式に決定し、その後に大村知事が発令する。
　宣言の内容は、改正特措法に基づく緊急事態宣言とほぼ同じで、期間は５月６日まで。対象区域となっている７都府県への移動だけでなく、県内での不要不急の外出や移動はすべて自粛を求める。密閉、密集、密接の「３密」を避けることの厳守も要請する。小中高校、県立学校などの臨時休業も５月６日まで延長する。社会情勢次第で延長もあり得る。
　一方で、宣言下でも、生活必需品の買い物や通院などの外出は認められている。また、外出自粛要請に従わなくても罰せられることはない。
　大村知事は「県独自の緊急事態宣言に加え、国の緊急事態宣言区域に入れば、ダブルのコロナ対策効果が期待できる。なんとしてもこの非常事態を乗り切りたい」と述べた。
（後藤康之）