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若い人たちに人気上昇「水上ビル」

近年、出店が続いている水上ビル
近年、出店が続いている水上ビル
新たな出店にもつながっている「雨の日商店街」(昨年6月)
新たな出店にもつながっている「雨の日商店街」(昨年6月)

 豊橋市中心部にある「水上ビル」。1960年代に作られた牟呂用水の上に立つビル群だ。近年は空き店舗が目立っていたが、このところ「昭和の雰囲気を残す素晴らしい場所」と再評価され、建設当時のことをほとんど知らない20~40代の店主たちが店を開いている。水上ビルにある「大豊商店街」では、58の店舗スペースのうち、空き店舗は7カ所まで減った。
 水上ビルは、大きく三つに分かれる。最も駅に近い場所が「豊橋ビル」。その東が「大豊ビル」で、大豊商店街がある。そして国道259号よりも東側が「大手ビル」と呼ばれている。
 大豊商店街は、郊外に多くの大型店がオープンし、厳しい状態が続いていた。近年は10店舗以上の空き店舗が常態化しており、シャッター街になりかかかっていた。
 ところが、ここ数年の間に15店ほどが立て続けにオープンした。店主は20~40代で、「ビルが気に入って、どうしてもここで店を開きたかった」と語る。
 家賃が安いから選んだ店主は、ほとんどいない。開店する店は多彩で、喫茶店、美容室、飲食店、加工食品店など幅広い。
 東京では10年以上前から「古民家カフェ」など、古い建物で店を営業するスタイルが定着した。地方でもこの流れが広がっており、古い建物が再評価され、「ノスタルジックな雰囲気の建物で店を開きたい」という人たちに水上ビルが評価されている。
 その1人が、こだわりの冷や麦やジャムなどを販売する「三徳商店」の牧野元美さん(37)。実家は、うどん粉やそば粉を飲食店に販売する店で、牧野さんはアンテナショップ的な役割を果たす店を開いた。かつて水上ビルの店でアルバイト経験があった牧野さんは、「ここでどうしても店が開きたかった。懐かしさを感じさせる雰囲気が素晴らしい」と話す。
 またジンジャーエールの素を製造している「ジンジャーシロップ製造所」を開店した中川清史さん(39)は、「ニューヨークのブルックリンのような雰囲気を感じさせる。店をやるならこの場所だと決めていた」と話した。
 ほかの店主たちも「豊橋で今、一番熱い場所。アーケードもあり、雨の日でも来店しやすい」などと評価する。また出店者たちのネットワークができ、互いに相談しながら店の運営ができているのも、新たな出店者を呼ぶことにつながっている。
 商店街もこれまで、さまざまな取り組みをしてきてきた。芸術作品で水上ビルを盛り上げる都市型アートイベント「sebone(せぼね)」をはじめ、商店主たちの卵が期間限定で空き店舗などに出店できる「雨の日商店街」などを開催してきた。雨の日商店街の出店者が店をオープンするケースもたびたびあり、取り組みも奏功している。
 大豊商店街の商店主らでつくる「大豊協同組合」の黒野有一郎理事長は「水上ビルは最近、テレビや新聞などメディアでたびたび取り上げられている注目のエリア。新しい店がオープンすることで商店街にも活気が出ている。豊橋市中心部の空洞化が言われて久しいが、この状況を打破するために今後も頑張っていきたい」と話す。
【竹下貴信】

 豊橋市中心部にある「水上ビル」。1960年代に作られた牟呂用水の上に立つビル群だ。近年は空き店舗が目立っていたが、このところ「昭和の雰囲気を残す素晴らしい場所」と再評価され、建設当時のことをほとんど知らない20~40代の店主たちが店を開いている。水上ビルにある「大豊商店街」では、58の店舗スペースのうち、空き店舗は7カ所まで減った。
 水上ビルは、大きく三つに分かれる。最も駅に近い場所が「豊橋ビル」。その東が「大豊ビル」で、大豊商店街がある。そして国道259号よりも東側が「大手ビル」と呼ばれている。
 大豊商店街は、郊外に多くの大型店がオープンし、厳しい状態が続いていた。近年は10店舗以上の空き店舗が常態化しており、シャッター街になりかかかっていた。
 ところが、ここ数年の間に15店ほどが立て続けにオープンした。店主は20~40代で、「ビルが気に入って、どうしてもここで店を開きたかった」と語る。
 家賃が安いから選んだ店主は、ほとんどいない。開店する店は多彩で、喫茶店、美容室、飲食店、加工食品店など幅広い。
 東京では10年以上前から「古民家カフェ」など、古い建物で店を営業するスタイルが定着した。地方でもこの流れが広がっており、古い建物が再評価され、「ノスタルジックな雰囲気の建物で店を開きたい」という人たちに水上ビルが評価されている。
 その1人が、こだわりの冷や麦やジャムなどを販売する「三徳商店」の牧野元美さん(37)。実家は、うどん粉やそば粉を飲食店に販売する店で、牧野さんはアンテナショップ的な役割を果たす店を開いた。かつて水上ビルの店でアルバイト経験があった牧野さんは、「ここでどうしても店が開きたかった。懐かしさを感じさせる雰囲気が素晴らしい」と話す。
 またジンジャーエールの素を製造している「ジンジャーシロップ製造所」を開店した中川清史さん(39)は、「ニューヨークのブルックリンのような雰囲気を感じさせる。店をやるならこの場所だと決めていた」と話した。
 ほかの店主たちも「豊橋で今、一番熱い場所。アーケードもあり、雨の日でも来店しやすい」などと評価する。また出店者たちのネットワークができ、互いに相談しながら店の運営ができているのも、新たな出店者を呼ぶことにつながっている。
 商店街もこれまで、さまざまな取り組みをしてきてきた。芸術作品で水上ビルを盛り上げる都市型アートイベント「sebone(せぼね)」をはじめ、商店主たちの卵が期間限定で空き店舗などに出店できる「雨の日商店街」などを開催してきた。雨の日商店街の出店者が店をオープンするケースもたびたびあり、取り組みも奏功している。
 大豊商店街の商店主らでつくる「大豊協同組合」の黒野有一郎理事長は「水上ビルは最近、テレビや新聞などメディアでたびたび取り上げられている注目のエリア。新しい店がオープンすることで商店街にも活気が出ている。豊橋市中心部の空洞化が言われて久しいが、この状況を打破するために今後も頑張っていきたい」と話す。
【竹下貴信】

近年、出店が続いている水上ビル
近年、出店が続いている水上ビル
新たな出店にもつながっている「雨の日商店街」(昨年6月)
新たな出店にもつながっている「雨の日商店街」(昨年6月)

カテゴリー:社会・経済

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