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「取り木」でムクノキの分身を再生へ

天然記念物指定を解除され、伐採されるムクノキ=新城市庭野で
天然記念物指定を解除され、伐採されるムクノキ=新城市庭野で
天然記念物であることを示す標柱
天然記念物であることを示す標柱

 新城市は、市指定天然記念物の「ムクノキ」(庭野香ケ崎)の指定を解除した。市道のセンターラインに立つ樹齢400年の木。伐採されるが、「取り木」=ことば=などで分身を近くに再生させる。今の位置からは姿を消すが、市のはからいでムクノキは残ることになった。
 この木が天然記念物指定されたのは1960年。屋敷の中にあったが、これと同じ頃に市道の建設工事が始まり、当時はセンターライン付近に木を残しても影響はないと考えられていた。コンクリート製の天然記念物の標柱が立っている。
 しかし、近年は周辺道路も含めて交通量が増加した。衝突事故も数件起きていたという。また近くに小学校があるため、事故を懸念する地元からは危険木扱いされていた。地元区長は今年5月、伐採の要望を出した。
 これを受け、市文化財保護審議会は木を調査した。この結果、一部で空洞化が進み、移植しても定着しないと判断、8月には伐採して指定解除もやむなし、という結論になった。
 木は、戦国武将で「海道一の弓取り」と称された今川義元(1519~60年)の一族が、当地の有力者の養子となったことを記念に植えられた、とする古文書が残る。事実なら樹齢は500年近い。市は、地元の人が守ってきた木の子孫を残す方法を検討している。すでに取り木の作業にかかっている。
【山田一晶】

 取り木
 植物の人工的繁殖方法の一つ。茎の途中から根を出させ、そこで切り取ることで新たな株を得る。木の枝の先端からある程度下の位置で樹皮を一回り切る。乾燥しないようにミズゴケなどで巻いて根を発生させる。

 新城市は、市指定天然記念物の「ムクノキ」(庭野香ケ崎)の指定を解除した。市道のセンターラインに立つ樹齢400年の木。伐採されるが、「取り木」=ことば=などで分身を近くに再生させる。今の位置からは姿を消すが、市のはからいでムクノキは残ることになった。
 この木が天然記念物指定されたのは1960年。屋敷の中にあったが、これと同じ頃に市道の建設工事が始まり、当時はセンターライン付近に木を残しても影響はないと考えられていた。コンクリート製の天然記念物の標柱が立っている。
 しかし、近年は周辺道路も含めて交通量が増加した。衝突事故も数件起きていたという。また近くに小学校があるため、事故を懸念する地元からは危険木扱いされていた。地元区長は今年5月、伐採の要望を出した。
 これを受け、市文化財保護審議会は木を調査した。この結果、一部で空洞化が進み、移植しても定着しないと判断、8月には伐採して指定解除もやむなし、という結論になった。
 木は、戦国武将で「海道一の弓取り」と称された今川義元(1519~60年)の一族が、当地の有力者の養子となったことを記念に植えられた、とする古文書が残る。事実なら樹齢は500年近い。市は、地元の人が守ってきた木の子孫を残す方法を検討している。すでに取り木の作業にかかっている。
【山田一晶】

 取り木
 植物の人工的繁殖方法の一つ。茎の途中から根を出させ、そこで切り取ることで新たな株を得る。木の枝の先端からある程度下の位置で樹皮を一回り切る。乾燥しないようにミズゴケなどで巻いて根を発生させる。

天然記念物指定を解除され、伐採されるムクノキ=新城市庭野で
天然記念物指定を解除され、伐採されるムクノキ=新城市庭野で
天然記念物であることを示す標柱
天然記念物であることを示す標柱

カテゴリー:社会・経済

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