コロナ禍影響大 外国人労働者の厳しい実情

　日本で働く外国人労働者の一部が、新型コロナウイルスの影響で厳しい状況に追い込まれている。仕事を失うだけでなく、ビザが切れるなどの問題も出ている。
　高度人材、特定技能などの制度を利用して海外の人材を国内企業に紹介している「ガイア国際センター」（豊橋市菰口町、楠田祐里社長）によると、一部の派遣会社がビザの切れる数日前に解雇するケースがあるという。ビザを更新するためには通常２カ月ほどかかる。２日前では無理だ。仕事を失うと同時に不法滞在の状態に追い込まれる。
　さらに一部の行政書士は、失業した外国人に再就職をあっせんし、ビザの更新すると約束して５万～10万円の手数料を取る。しかし、知識不足から手続きができなかったにもかかわらず、手数料を返金しないケースが出ているという。楠田社長は「外国人労働者にとって、大変な金額。それを踏みにじる行為に憤りを感じる」と非難する。
　センターは、これらの被害に遭った外国人をはじめ、職を失った人を支援するため、無償で住む場所と食事を用意している。そして再就職とビザ取得を支援している。これまでに１０６人が介護、食品加工などの分野で就職できた。海外からの入国が難しくなっていることから、労働力が確保できた企業からは感謝の声が届く。
　楠田社長は「コロナ禍の影響は今後もしばらく続く見通しで、失業する人も出てくる可能性が高い。仕事を失った外国人の再就職支援に尽力したい」と話す。
【竹下貴信】