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姿を消す壁画のあるバー 名士が愛した豊橋「ミニハウス」

カテゴリー:特集

3月末で姿を消す「ミニハウス」=豊橋市大黒町で
3月末で姿を消す「ミニハウス」=豊橋市大黒町で
ミニハウスオーナー夫妻の似顔絵、松井さんの自画像などが描かれた壁面
ミニハウスオーナー夫妻の似顔絵、松井さんの自画像などが描かれた壁面

 豊橋市大国町、水上ビルの向かいにあるショットバー「ミニハウス」。地元の政財界や医師など名士が愛し、豊橋出身の洋画家、松井守男さんも通っていくつもの壁画を残したこの店が、今月いっぱいで惜しまれつつ姿を消す。解体を前に常連の一部で壁画を残そうという動きもあったが、時間的、壁面の材質的にかなわなかった。

 ミニハウスは1973年にオープン。間口1間×奥行き4間、カウンター12席という居心地の良さで、地元ライオンズクラブやロータリークラブ会員、政治家、マスターの河西徳夫さんが全国大会入賞レベルのカヌーイストだったことからカヌー仲間、パリ・ダカールラリーに出場した「トヨタ・チーム・アラコ」のメンバーなど、華やかな客層でにぎわった。
 店舗近くにある「日の丸薬局」の堀田能正さんが、同級生の松井守男さんを店に連れて行ったのが2001年。以来、豊橋に来るたびに店を訪れ、08年からは漆喰(しっくい)の壁に筆ペンで絵を描き始めた。マスター夫妻、堀田さんら同級生、珍しい自画像…壁は常連の似顔絵やサインでどんどん埋まっていった。
 しかし、16年5月、65歳の若さで河西さんが急逝。やむなく店を閉じることに。だが、常連客らから強い要望があり、マスターの妻邦乃さんの厚意で月1~2回、店の鍵を開けて、有志がサロンとして集い始めた。サロンは5年間続いたが、店の大家が亡くなり、代替わりした女性も高齢となったこと、店舗が老朽化したことで耐震性の問題などから、建物自体を取り壊す話になったという。
 惜しむらくは名物の壁画が保存できないこと。写真ではなく、何とか現物が残れば―と、常連客の一部からクラウドファンディングをやろうという意見も出たが、引き払うまでの時間がなく、漆喰の壁がもろいことなどもあり泣く泣く断念した。
 「サロンとして足掛け5年。皆さんに広くかわいがっていただき感謝している」と邦乃さん。今月13日には最後のサロンも開き、メンバーが愛する店舗に別れを告げた。昭和の面影を残す名店が、その歴史を閉じる。
 
 松井さんは建物が無くなってしまうことについて、「日本に来ると必ず立ち寄った。あの店はみんなの憩いの場所だった。とにかく残念でならない。世界に一つしか無い、貴重な壁画をできることなら残してほしかった」と電話口で無念さをにじませる。「壁を外す方法もあったと思う。保存の方向で動いてほしかったが、新型コロナウイルス禍の今は、アートの力より命を大切にする時。喪失感や憤りを今後の作品にぶつけていきたい」などと語った。
【田中博子】

 豊橋市大国町、水上ビルの向かいにあるショットバー「ミニハウス」。地元の政財界や医師など名士が愛し、豊橋出身の洋画家、松井守男さんも通っていくつもの壁画を残したこの店が、今月いっぱいで惜しまれつつ姿を消す。解体を前に常連の一部で壁画を残そうという動きもあったが、時間的、壁面の材質的にかなわなかった。

 ミニハウスは1973年にオープン。間口1間×奥行き4間、カウンター12席という居心地の良さで、地元ライオンズクラブやロータリークラブ会員、政治家、マスターの河西徳夫さんが全国大会入賞レベルのカヌーイストだったことからカヌー仲間、パリ・ダカールラリーに出場した「トヨタ・チーム・アラコ」のメンバーなど、華やかな客層でにぎわった。
 店舗近くにある「日の丸薬局」の堀田能正さんが、同級生の松井守男さんを店に連れて行ったのが2001年。以来、豊橋に来るたびに店を訪れ、08年からは漆喰(しっくい)の壁に筆ペンで絵を描き始めた。マスター夫妻、堀田さんら同級生、珍しい自画像…壁は常連の似顔絵やサインでどんどん埋まっていった。
 しかし、16年5月、65歳の若さで河西さんが急逝。やむなく店を閉じることに。だが、常連客らから強い要望があり、マスターの妻邦乃さんの厚意で月1~2回、店の鍵を開けて、有志がサロンとして集い始めた。サロンは5年間続いたが、店の大家が亡くなり、代替わりした女性も高齢となったこと、店舗が老朽化したことで耐震性の問題などから、建物自体を取り壊す話になったという。
 惜しむらくは名物の壁画が保存できないこと。写真ではなく、何とか現物が残れば―と、常連客の一部からクラウドファンディングをやろうという意見も出たが、引き払うまでの時間がなく、漆喰の壁がもろいことなどもあり泣く泣く断念した。
 「サロンとして足掛け5年。皆さんに広くかわいがっていただき感謝している」と邦乃さん。今月13日には最後のサロンも開き、メンバーが愛する店舗に別れを告げた。昭和の面影を残す名店が、その歴史を閉じる。
 
 松井さんは建物が無くなってしまうことについて、「日本に来ると必ず立ち寄った。あの店はみんなの憩いの場所だった。とにかく残念でならない。世界に一つしか無い、貴重な壁画をできることなら残してほしかった」と電話口で無念さをにじませる。「壁を外す方法もあったと思う。保存の方向で動いてほしかったが、新型コロナウイルス禍の今は、アートの力より命を大切にする時。喪失感や憤りを今後の作品にぶつけていきたい」などと語った。
【田中博子】

3月末で姿を消す「ミニハウス」=豊橋市大黒町で
3月末で姿を消す「ミニハウス」=豊橋市大黒町で
ミニハウスオーナー夫妻の似顔絵、松井さんの自画像などが描かれた壁面
ミニハウスオーナー夫妻の似顔絵、松井さんの自画像などが描かれた壁面

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