大河ドラマに岡村さんの研究成果活用

　今年のＮＨＫ大河ドラマ「青天を衝け」の登場人物や場面描写に、豊橋市中央図書館の岡村龍男学芸員（37）＝日本近世・近代史＝がまとめた研究成果が活用された。静岡藩時代の渋沢や周辺の人物描写、史実など時代考証に使われ、９月に放映された。
　岡村学芸員は駒澤大学博士後期課程を経て、埼玉県立文書館、静岡市などで研究に携わった。研究が縁で今年度から中央図書館に赴任した。駿府を中心とした地域社会の展開などをテーマに取り組んでいる。
　静岡藩時代の渋沢についてはこれまで、専門書でも自伝の記述に依存していた。岡村学芸員はこの時期の関連する古文書を元に、静岡時代の渋沢の活動実態などを明らかにした。
　４月に制作者の依頼で研究成果を提供。９月19、26日放映の第27話と28話では、渋沢が立ち上げた商法会所の場面に田中要次さん演じる駿府茶問屋の萩原四郎兵衛を登場させた。
　渋沢の片腕となった萩原は、岡村学芸員によると「商法会所の功績も実は多くが萩原のものだった」とみている。この場面では武士と商人が共同で会社を運営する様子が描かれている。
　岡村学芸員は研究成果をまとめた「渋沢栄一と静岡～改革の軌跡をたどる」（静岡新聞社）を９月に出版。「静岡時代の史実を元に新たな渋沢像を示せた」と話した。
【加藤広宣】