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原油高、田原のハウス農家悲鳴

ハウスの暖房を調節する小川さん=田原市中山町で
ハウスの暖房を調節する小川さん=田原市中山町で
温度の影響がないか作物の出来を確認する小川さん
温度の影響がないか作物の出来を確認する小川さん

 原油価格の高止まりが農家の経営に影響を及ぼしている。石油情報センターが公表した県内のガソリン平均価格は22日現在で1㍑当たり166円、灯油は18㍑で1957円に上る。7年前の高騰に迫る勢いで、アフターコロナを見据えた経済回復に水を差すのではと関係者は不安をのぞかせる。
 影響は花や果物のハウス栽培が盛んな田原市の農業にも及ぶ。ハウスの温度を保つ暖房用の重油は、10月時点で1㍑当たり100円に迫った。気象庁の予報では今年12月は平年より低い気温となる見込みで、暖房費の負担増が心配される。コスト増を原価に反映させにくい野菜や果物は、暖房費の増加分を補う材料がなく、農家は苦境に立たされる。
 田原市中山町でミニトマトなどを栽培する「おがわ農園」の小川浩康さんは「ハイリスク、ノーリターンの状況。赤字の生産者も多いのではないか」と途方に暮れる。
 出荷時期の最盛期は10月から6月。寒い12月の夜はハウスを約11度に保つ必要がある。
 面積当たりの収穫量を保つためには「ベストは13度だが、燃料費が高いのでそうもいかない」と苦しい内情を明かす。市場全体で収量が下がると相場は上がるが、暖房費を賄えるほどの影響は少ないとみる。
 小川さんのハウスでは1週間に2000~2500㍑の産業用重油を使う。「今では肥料より高価になった。負担が大きいが、こればかりはどうしようもない」と原油市場の回復を願う。
 「地元の温暖な気候に助けられている」。イチゴ狩りができる観光農園を営む農家は「設定室温は約8度で、ほかの作物よりは低い。まだましな方」と話す。12月の最低気温は4度と気候に恵まれ、1~2月の平均気温は2度。名古屋圏と比べて1・5度近く暖かいという。
 燃油高を受けて政府も国家備蓄を放出する方針を示した。さらに、ガソリンや軽油、灯油、重油の価格高騰を抑える対策として、石油元売会社への価格上昇分を補助する対策も講じることになった。こうした措置が末端消費者まで届くのか。農業関係者は動向から目が離せないという。
【岸侑輝】

 原油価格の高止まりが農家の経営に影響を及ぼしている。石油情報センターが公表した県内のガソリン平均価格は22日現在で1㍑当たり166円、灯油は18㍑で1957円に上る。7年前の高騰に迫る勢いで、アフターコロナを見据えた経済回復に水を差すのではと関係者は不安をのぞかせる。
 影響は花や果物のハウス栽培が盛んな田原市の農業にも及ぶ。ハウスの温度を保つ暖房用の重油は、10月時点で1㍑当たり100円に迫った。気象庁の予報では今年12月は平年より低い気温となる見込みで、暖房費の負担増が心配される。コスト増を原価に反映させにくい野菜や果物は、暖房費の増加分を補う材料がなく、農家は苦境に立たされる。
 田原市中山町でミニトマトなどを栽培する「おがわ農園」の小川浩康さんは「ハイリスク、ノーリターンの状況。赤字の生産者も多いのではないか」と途方に暮れる。
 出荷時期の最盛期は10月から6月。寒い12月の夜はハウスを約11度に保つ必要がある。
 面積当たりの収穫量を保つためには「ベストは13度だが、燃料費が高いのでそうもいかない」と苦しい内情を明かす。市場全体で収量が下がると相場は上がるが、暖房費を賄えるほどの影響は少ないとみる。
 小川さんのハウスでは1週間に2000~2500㍑の産業用重油を使う。「今では肥料より高価になった。負担が大きいが、こればかりはどうしようもない」と原油市場の回復を願う。
 「地元の温暖な気候に助けられている」。イチゴ狩りができる観光農園を営む農家は「設定室温は約8度で、ほかの作物よりは低い。まだましな方」と話す。12月の最低気温は4度と気候に恵まれ、1~2月の平均気温は2度。名古屋圏と比べて1・5度近く暖かいという。
 燃油高を受けて政府も国家備蓄を放出する方針を示した。さらに、ガソリンや軽油、灯油、重油の価格高騰を抑える対策として、石油元売会社への価格上昇分を補助する対策も講じることになった。こうした措置が末端消費者まで届くのか。農業関係者は動向から目が離せないという。
【岸侑輝】

ハウスの暖房を調節する小川さん=田原市中山町で
ハウスの暖房を調節する小川さん=田原市中山町で
温度の影響がないか作物の出来を確認する小川さん
温度の影響がないか作物の出来を確認する小川さん

カテゴリー:社会・経済

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