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53年の歴史に幕 豊橋「オザワ屋」が30日閉店

カテゴリー:特集

「オザワ屋」と小澤さん夫妻=豊橋市井原町で
「オザワ屋」と小澤さん夫妻=豊橋市井原町で
1個30~50円の駄菓子が並ぶ
1個30~50円の駄菓子が並ぶ
宝くじを買い求める人も多い
宝くじを買い求める人も多い

 豊橋市井原町の駄菓子と宝くじ販売「オザワ屋」が30日で閉店する。店主の小澤正久さん(81)と妻光子さん(80)夫妻が高齢になったため。1968年12月にオープンしてから53年、地域に愛された店の幕引きに、多くの人が感謝している。

 店を始めたのは、当時の正久さんの仕事仲間の勧めがきっかけ。74年、周辺道路や川の拡幅工事のため現住所に移転した。最初の12年は光子さんが一人で店を切り盛りし、軌道に乗せた。駄菓子のほか、ゲームコーナーの設置、牛乳や本、肉まんなどの販売を経て、今のたばこや宝くじの販売に落ち着いた。「あっという間に楽しく過ぎていった。大変なこともあったが、夢中でここまで来た」と光子さんは語る。
 後から店の経営に加わった正久さんは、釣りと園芸、日曜大工などが趣味。店内で展示されているアルバムや写真は、正久さんが一人で店舗の建て増しや大規模な造園を手がける様子が写っている。電気工事なども自分でやった。「器用で、何ごともまず自分でやってみないと気が済まない人」と光子さん。
 正久さんは自他共に認める釣り好き。店内には52㌢のヒラメや57㌢のゴチの魚拓がある。2代目愛猫から名前を受け継いだボート「あたりちゃんⅡ」に乗って現在も浜名湖で釣りを楽しんでいる。「70歳を過ぎて船舶免許をとる人もなかなかいないと思う」
 現在はやっていないが、以前飼っていた熱帯魚の水槽もある。水の循環装置なども手作りだ。このほか、17年に「NHKのど自慢」に出場した際の写真なども飾られている。
 今も地域の人を中心に入れ替わり立ち替わり訪れる。宝くじ売り場として1000万円以上の高額当選者を何人も出し、「よく当たるオザワ屋」として有名だ。昭和の頃は子どもたちの姿も多く、地域の駄菓子屋さんとして親しまれた。
 閉店を前に、正久さんは「思い出ノート」を置いた。「お店の思い出を書き込んでいってほしい」と話す。店じまいを知って遠方から訪れた人や、子どもの頃から通っていた人、親子2代、3代にわたって親しんだ人、引っ越して最初に訪れた店がここだったという人など、大人から子どもまでさまざまな人から感謝のメッセージが寄せられている。来店した人も「今までありがとう」「寂しくなるね」と口々に語る。
 「片付けが終わったら、趣味を楽しみたい」と話す正久さん。「何でもやってくれる」と光子さんは頼もしげだ。2人は「人生最後のスタートライン。お客さんとの別れは心残り。申し訳ない気持ちでいっぱい」と話した。
 30日まで休まず営業。午前9時~午後6時半。写真展「なつかしのオザワ屋」コーナーがある。正久さんの多芸ぶりが分かるアルバムを展示している。
【岸侑輝】

 豊橋市井原町の駄菓子と宝くじ販売「オザワ屋」が30日で閉店する。店主の小澤正久さん(81)と妻光子さん(80)夫妻が高齢になったため。1968年12月にオープンしてから53年、地域に愛された店の幕引きに、多くの人が感謝している。

 店を始めたのは、当時の正久さんの仕事仲間の勧めがきっかけ。74年、周辺道路や川の拡幅工事のため現住所に移転した。最初の12年は光子さんが一人で店を切り盛りし、軌道に乗せた。駄菓子のほか、ゲームコーナーの設置、牛乳や本、肉まんなどの販売を経て、今のたばこや宝くじの販売に落ち着いた。「あっという間に楽しく過ぎていった。大変なこともあったが、夢中でここまで来た」と光子さんは語る。
 後から店の経営に加わった正久さんは、釣りと園芸、日曜大工などが趣味。店内で展示されているアルバムや写真は、正久さんが一人で店舗の建て増しや大規模な造園を手がける様子が写っている。電気工事なども自分でやった。「器用で、何ごともまず自分でやってみないと気が済まない人」と光子さん。
 正久さんは自他共に認める釣り好き。店内には52㌢のヒラメや57㌢のゴチの魚拓がある。2代目愛猫から名前を受け継いだボート「あたりちゃんⅡ」に乗って現在も浜名湖で釣りを楽しんでいる。「70歳を過ぎて船舶免許をとる人もなかなかいないと思う」
 現在はやっていないが、以前飼っていた熱帯魚の水槽もある。水の循環装置なども手作りだ。このほか、17年に「NHKのど自慢」に出場した際の写真なども飾られている。
 今も地域の人を中心に入れ替わり立ち替わり訪れる。宝くじ売り場として1000万円以上の高額当選者を何人も出し、「よく当たるオザワ屋」として有名だ。昭和の頃は子どもたちの姿も多く、地域の駄菓子屋さんとして親しまれた。
 閉店を前に、正久さんは「思い出ノート」を置いた。「お店の思い出を書き込んでいってほしい」と話す。店じまいを知って遠方から訪れた人や、子どもの頃から通っていた人、親子2代、3代にわたって親しんだ人、引っ越して最初に訪れた店がここだったという人など、大人から子どもまでさまざまな人から感謝のメッセージが寄せられている。来店した人も「今までありがとう」「寂しくなるね」と口々に語る。
 「片付けが終わったら、趣味を楽しみたい」と話す正久さん。「何でもやってくれる」と光子さんは頼もしげだ。2人は「人生最後のスタートライン。お客さんとの別れは心残り。申し訳ない気持ちでいっぱい」と話した。
 30日まで休まず営業。午前9時~午後6時半。写真展「なつかしのオザワ屋」コーナーがある。正久さんの多芸ぶりが分かるアルバムを展示している。
【岸侑輝】

「オザワ屋」と小澤さん夫妻=豊橋市井原町で
「オザワ屋」と小澤さん夫妻=豊橋市井原町で
1個30~50円の駄菓子が並ぶ
1個30~50円の駄菓子が並ぶ
宝くじを買い求める人も多い
宝くじを買い求める人も多い

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