男性トイレにもサニタリーボックス設置着々

豊橋、蒲郡両市が公共施設で導入

　中高年に多い尿漏れパッドの捨て場に困るとの声を受け、公共施設の男性用トイレにサニタリーボックスを置く自治体が全国的に増えている。東三河で導入したのは豊橋市に続いて８月から始めた蒲郡市だ。市民の要望があるという豊川市でも導入を前向きに検討しているという。

　蒲郡市は、市役所の本館と新館の各１～３階トイレのほか、市保健医療センター、市内14の公園、蒲郡駅など計30カ所に設けた。必要とする市民や市議会からの要望に応えた。
　市はホームページと庁舎内のトイレに、ボックスの正しい使い方などを示した「参考事例」の張り紙を掲載。使わない市民にも理解を深めてもらいたい考えだ。今後は民間施設にも設置範囲を広げるため、啓発活動も検討している。
　豊橋市は東三河の他市に先駆けて６月に設置した。全国的にも広がり出した時期だ。市役所本庁舎（１～３階）と、市保健所・保健センター（ほいっぷ）の来客用の計25カ所に足踏みタイプの箱を置いた。その後、市「こども未来館ここにこ」、豊橋総合動植物公園（のんほいパーク）にも新たに設置した。
　市資産経営課によると今後は、市民館や図書館などほかの公共施設にも設けるかどうかを検討しているという。
　まだ設置していない自治体のうち、豊川市は近隣自治体の動向を踏まえて、年度内に庁舎へ新設する予定だという。
　一方、新城市と田原市では現在も市民からの要望はなく、話題に挙がることもないため設置に至っていないという。田原市は近隣自治体の状況を見て判断するとの考えも示した。
　サニタリーボックスは女性用トイレには一般的に置かれているが、男性用トイレにはほとんどなかったという。
　国立がん研究センターによると、前立腺がんは男性の部位別がん罹患者数でもっとも多く、２０１８年は全国９万２０００人余り、県内で４７７０人、豊橋市では２２６人だった。膀胱がんは全国約１万７５００人、県内８５５人だった。膀胱がんは男性の罹患率が女性の４倍とされ、ともに50代以降の中高年になると増える。
　摘出手術後は頻繁な尿失禁に見舞われる。自分の意思でコントロールできず、おむつや尿漏れパッドの頻繁な交換が必要になる。使用済みを持ち歩くことに悩む男性がインターネット上で声を挙げたのを機に、昨年から今年６月頃にかけて公共施設などで改善の動きが急展開した。
【加藤広宣、林大二朗】