伊良湖クリスタルポルトの改修始まる

　「渥美半島、海の玄関口」がよみがえる。田原市伊良湖町の道の駅「伊良湖クリスタルポルト」のリニューアル工事が始まった。２０２０年５月に休館となり、21年３月から一部再開。22年９月まで規模縮小のまま営業していた。改修後は新たに、海産物の販売や産直コーナー、観光案内所などが置かれるという。
　20年５月、新型コロナウイルス禍による利用客減少などを理由に休館。21年３月16日から待合ロビーやトイレなど一部機能を再開したが、客足は戻らず、閑散とした状況が続いていた。
　市と、当時の所有者だった伊良湖リゾートで話し合いが持たれた。「港湾機能の維持」「鳥羽伊良湖航路の存続」「伊良湖地域の観光振興と地域振興」の観点から市が購入を決定。22年９月30日に市へ引き渡され、改修のため一時閉鎖となった。再オープンは６月上旬を予定している。
　市商工観光課の荒木智さんによると、管理者候補として、市内の道の駅「めっくんはうす」や「あかばねロコステーション」を運営する「田原観光情報サービスセンター」が挙がっている。３月議会で正式に決まるという。名称は「伊良湖クリスタルポルト」のまま変わらない。
　中の店は、これから詳細を協議する。予定として「土産品や農産物に加え海産物を販売」するほか、「海産物を中心としたレストランの運営」「情報発信強化に観光案内所の設置」を挙げた。「魚の産直コーナー」「伊良湖温泉ＰＲ」「釣りざおレンタルサービス」「ほかの道の駅と連携したレンタカー・レンタサイクル事業」の展開も考えているという。リニューアル後にオープン式典を予定する。
　荒木さんは「伊良湖地区の交通・観光振興拠点としての機能強化を図り、地域課題の解決、地域振興につなげたい」と展望を語る。
　伊勢湾フェリーの伊良湖営業所で係長を務める澤原和彦さんは「仮設店舗で営業しているきっぷ売り場は、６月か７月にクリスタルポルトの２階に移動する予定。道の駅にもフェリーにも、笑顔のお客さんが戻ってくるとうれしい」とコメントした。
　工事開始後の日曜、現場を訪れた。正面駐車場には立ち入り禁止の柵があり、工事を告知する看板があった。トイレは24時間利用可能。施設の裏手に午前７時～午後５時に使える仮設待合所がある。伊勢湾フェリーのきっぷ売り場は、今まで通り仮設。豊鉄バスの停留所や、タクシー乗り場などは場所が変わっている。
　ひっきりなしに、観光客らの車が来た。浜松からの親子連れは「渥美半島の観光中で食事に寄った。閉鎖は知らなかった。６月にまた来たい」と話した。豊川から来た親子は「道の駅めぐりをしている。昨年の夏に来たときは閑散としていて、今はどうなっているか気になり寄った。改装は知らなかった。リニューアルオープンが楽しみ」と答えた。
　新しくなる伊良湖クリスタルポルトに、期待する声が多く聞かれた。
【夏目敬介】