吉田城址の保存と活用計画

　豊橋市は吉田城跡の保存と活用方法などを盛り込んだ「吉田城址（じょうし）保存活用計画」を策定した。現存する遺構を保存するための修復工事や都市公園の景観と環境に配慮した保存管理とする。活用策として、歴史的景観を楽しめるビュースポットも設ける。
　吉田城は15世紀末頃に築かれた今橋城を基に１５２２年に改称したとされる。経済や交通の要衝で戦国時代は争奪戦が繰り広げられた。現在も豊橋公園を中心に石垣や土塁、堀など貴重な遺構が数多く残り、市教育委員会は昨年３月に約73万平方㍍を史跡指定した。
　計画では、石垣などが残る本丸跡など公園西側と、総堀土塁がある豊橋刑務支所付近を保存管理や活用の対象とした。本丸の中心部から重要度などに応じてＡ～Ｃのゾーンに分類。刑務支所付近と合わせて四つのゾーンからなる。
　保存対象となる遺構はここ数年、風雨などによる石垣の崩落や土塁の流出、堀の埋没といった損傷が進んでいる。
　特に石垣の保存修復は園内の安全確保の点でも急がれる。市は昨年度までに「千貫櫓（せんがんやぐら）」など２カ所の崩落現場を修復した。後も広場東側や黒鉄櫓（くろがねやぐら）」の北側に広がる豊川沿いで崩落の可能性が指摘される３カ所を修復する。
　遺構の保存と来場者の安全確保のために必要な調査やモニタリングなどにも取り組む。遺構に影響がある樹木は、ゾーニングに沿った樹木管理計画により伐採や枝打ちなどを進めるという。ビュースポットの整備へ向け、案内板や説明看板などで結ぶ周遊ルートも設ける。
【加藤広宣】