豊橋の「イノチオみらい」が農産局長賞

未来につながる持続可能な農業推進コンＧＡＰ部門

　豊橋市の「イノチオみらい」は２０２２年度の「未来につながる持続可能な農業推進コンクール」ＧＡＰ＝ことば＝部門で農産局長賞を受賞した。その取り組みを紹介する。
　２０１６年に操業開始した同市新西浜町１の「イノチオファーム豊橋」の多連棟式高軒高ハウス、面積３・６㌶で一年を通してミニトマトを栽培する。生鮮ミニトマトとして国内初となる機能性表示食品「野菜で元気ＧＡＢＡ」を生産する。グローバルＧＡＰを17年に取得している。
　従業員全員が農業未経験者の中、ＯＪＴ（実務を体験させながら仕事を覚えてもらう教育手法）を充実させた。ＧＡＰに即した運営管理の規定集を作り、農作業向けの労務管理アプリを導入して労働時間を削減するなどしている。イノチオグループ内でも田原ファームや長野県の伊那ファームで共通したルール運用を進めている。継続することが重要とされるグローバルＧＡＰの審査では、21～22年度の審査を是正項目ゼロでクリアした。
　豊橋技術科学大学と連携し、リンなど肥料の使用量を削減、隣接する下水処理場の放流熱水を暖房に利用するなどして資源保全やＣＯ２排出量を５年間で約６割減らすなどの取り組みのほか、規格外品や落果したものを「豊橋総合動植物公園（のんほいパーク）」の動物の餌として提供するなどしてフードロスを約２％にする▽農福連携で障害者が生産や出荷に関係した作業に携わる▽学生の施設見学を積極的に受け入れ学びの場を提供し、最新の農業の姿を知ってもらう―などをしている。
　同社ＧＡＰ担当の曽根優太さんは受賞に「やってきた取り組みが評価されてうれしい。満足せずに引き続き取り組み、農業界に貢献したい」と話した。
【岸侑輝】

ことば
ＧＡＰ
　「Ｇｏｏｄ　Ａｇｒｉｃｕｌｔｕｒａｌ　Ｐｒａｃｔｉｃｅｓ」（農業生産工程管理）の頭文字。農産物の安全を確保し、農業で食品安全だけでなく、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組み。世界基準の認証制度に「グローバルＧＡＰ」がある。