住宅地図多数コピーでトラブル

男性5人組が田原市中央図書館職員と口論、警察も出動

　田原市中央図書館で28日、住宅地図の多数のページをコピーしようとした５人組グループが、著作権法などに基づいて注意した職員と口論になるトラブルがあった。何が目的かは分かっていない。グループは立ち去った。図書館職員は「複写サービスの適正利用を求めた際に起きたトラブル」と説明した。
　職員によるとその前、図書館に「豊橋と豊川のゼンリン住宅地図があるか」という問い合わせ電話が２人からあった。応対した職員はリポートを作る学生からだと思っていたという。
　その後、30代とみられる男性２人が訪れ、両市の地図の複写申請を出した。２市のゼンリン地図の見開きの片側ぺージを２人がそれぞれ、多数のページを複写するという内容だった。
　著作権法は図書館の蔵書を複写する場合、権利者が許可している場合を除き、その一部のみのコピーが可能としている。多くの図書館はこれに従い、地図などは見開き状態の「半分」をコピーできるように定める。一方で規定を悪用し、複数人が手分けして全部をコピーしてしまうという脱法行為もあるという。
　田原市図書館の２人組も、手分けしコピーしようとする意図が明らかだったため、職員が控えるよう声を掛けた。すると仲間とみられる別の男性が現れ、目の前で「無視して全部コピーしろ」などと指示。さらにいた別の２人とともに「全国で同じようにしてきたが、注意されたのは初めてだ」などと大声を上げ、「警察を呼ぶぞ」と威圧的な態度を示した。
　実際に警察が呼ばれ、職員は駆け付けた田原署員に事情を説明したうえで、著作権法に反しない他の方法を提示するなどグループを説得したが、物別れに終わった。５人は「他の図書館で複写する」などと言い残して出ていった。
　図書館によると、過去にも不動産業者が営業目的などでルールを逸脱した複写を申請することがあったという。住宅地図の所蔵の問い合わせ自体は珍しくない。豊橋市や豊川市の図書館にもこの日に電話があったといい「よくある問い合わせの一つと思った」などと語った。

常識の範囲内でルールを守って

　今回は、あからさまにルールをないがしろにしようとする行為だったと田原市図書館はみている。「多くの人が便利に使うため、ルールを守ってほしい。守れない場合は、サービス停止につながる恐れもある」と呼び掛けている。
【岸侑輝】