文字の大きさ

湖西市で進む先進的な水道事業

湖西市や中部電、日邦バルブ、日野エンジニアリングによる水道栓遠隔開閉の説明会=市役所で
湖西市や中部電、日邦バルブ、日野エンジニアリングによる水道栓遠隔開閉の説明会=市役所で
スマートバルブ㊧とスマートメーター㊨などの実験機器
スマートバルブ㊧とスマートメーター㊨などの実験機器

 湖西市で水道の「スマートメーター」活用の先進的な取り組みが進んでいる。市はこのほど水道栓の遠隔開閉や、マンホールポンプの遠方監視システムの実証実験について発表した。これらの技術を活用して新水道料金体系を始める。
 今後の人口減で水道事業の減収を見込んでいることや、老朽化した水道施設の改修費がかかることなどがあり、有識者や市民でつくる審議会が水道料金の値上げなどについて議論していることが背景にある。スマートメーターを導入して検針などを自動化し、データ収集による新設備の効率化や体制の省力化で更新コストを削減、料金値上げ幅の縮小につなげる。
 2020年11月、湖西市は全国に先駆けて、豊橋技術科学大学や東京設計事務所、中部電力との間で協力して調査研究に取り組む「共同研究に関する基本合意書」を締結した。水道スマートメーターや各種センサーなどでのビッグデータの収集と解析により、事業へ活用する。
 これをきっかけにスタートした主な事業の一つが、時間帯別料金の実証実験だ。27年度までに全戸にスマートメーターを取り付けて変動制料金を導入する方針の前段階。23年には知波田・入出地区の約1890戸の8月と10月検針分の2回を対象に、1立方㍍あたり137・5円の従量料金を、午前10時から午後5時までは110円に、午前0時から午前6時までは55円に割り引くなどした。
 今年1月に審議会の中で実験結果の速報があり、料金を安く設定した午前5時台の利用が増えたことがわかった。アンケート調査では、半数近くの人が水を使う時間帯を意識したと答えた。市はこれを受け、調査結果をさらに詳しく分析し、今後の料金設定に生かすという。
 水道栓の遠隔開閉は、今年6月から25年3月まで、湖西市営上ノ原住宅の3~12戸を対象に実験する。中部電の電力スマートメーター通信網を中継し、止水栓を自動的に開閉できるスマートバルブを水道事業者が遠隔操作できるようにする。スマートバルブは「日邦バルブ」(長野県)と「日野エンジニアリング」(東京都)が開発した。
 水道契約の開始と終了時や宅内漏水などの際に作業員が現地へ出向く必要がなくなり、手続きや修理が完了次第すぐに水が使えるようになるなど業務効率化やサービスの向上のほか、災害時にはただちに閉栓できる。実験を通してスマートバルブの操作性や実用性、機能や仕様などの課題把握、省エネ性やバッテリー寿命の評価、耐久性などの確認と検証をする。
 マンホールポンプの遠方監視は4月1日から1年。ポンプ施設2カ所で実験する。現在は電話回線により1カ月に1回、ファクスで取得している運転データや故障情報を、中電の電力スマートメーター経由に変更し、デジタルデータをリアルタイムに収集して効率的な管理に向けた検討につなげるという。
【岸侑輝】

 湖西市で水道の「スマートメーター」活用の先進的な取り組みが進んでいる。市はこのほど水道栓の遠隔開閉や、マンホールポンプの遠方監視システムの実証実験について発表した。これらの技術を活用して新水道料金体系を始める。
 今後の人口減で水道事業の減収を見込んでいることや、老朽化した水道施設の改修費がかかることなどがあり、有識者や市民でつくる審議会が水道料金の値上げなどについて議論していることが背景にある。スマートメーターを導入して検針などを自動化し、データ収集による新設備の効率化や体制の省力化で更新コストを削減、料金値上げ幅の縮小につなげる。
 2020年11月、湖西市は全国に先駆けて、豊橋技術科学大学や東京設計事務所、中部電力との間で協力して調査研究に取り組む「共同研究に関する基本合意書」を締結した。水道スマートメーターや各種センサーなどでのビッグデータの収集と解析により、事業へ活用する。
 これをきっかけにスタートした主な事業の一つが、時間帯別料金の実証実験だ。27年度までに全戸にスマートメーターを取り付けて変動制料金を導入する方針の前段階。23年には知波田・入出地区の約1890戸の8月と10月検針分の2回を対象に、1立方㍍あたり137・5円の従量料金を、午前10時から午後5時までは110円に、午前0時から午前6時までは55円に割り引くなどした。
 今年1月に審議会の中で実験結果の速報があり、料金を安く設定した午前5時台の利用が増えたことがわかった。アンケート調査では、半数近くの人が水を使う時間帯を意識したと答えた。市はこれを受け、調査結果をさらに詳しく分析し、今後の料金設定に生かすという。
 水道栓の遠隔開閉は、今年6月から25年3月まで、湖西市営上ノ原住宅の3~12戸を対象に実験する。中部電の電力スマートメーター通信網を中継し、止水栓を自動的に開閉できるスマートバルブを水道事業者が遠隔操作できるようにする。スマートバルブは「日邦バルブ」(長野県)と「日野エンジニアリング」(東京都)が開発した。
 水道契約の開始と終了時や宅内漏水などの際に作業員が現地へ出向く必要がなくなり、手続きや修理が完了次第すぐに水が使えるようになるなど業務効率化やサービスの向上のほか、災害時にはただちに閉栓できる。実験を通してスマートバルブの操作性や実用性、機能や仕様などの課題把握、省エネ性やバッテリー寿命の評価、耐久性などの確認と検証をする。
 マンホールポンプの遠方監視は4月1日から1年。ポンプ施設2カ所で実験する。現在は電話回線により1カ月に1回、ファクスで取得している運転データや故障情報を、中電の電力スマートメーター経由に変更し、デジタルデータをリアルタイムに収集して効率的な管理に向けた検討につなげるという。
【岸侑輝】

湖西市や中部電、日邦バルブ、日野エンジニアリングによる水道栓遠隔開閉の説明会=市役所で
湖西市や中部電、日邦バルブ、日野エンジニアリングによる水道栓遠隔開閉の説明会=市役所で
スマートバルブ㊧とスマートメーター㊨などの実験機器
スマートバルブ㊧とスマートメーター㊨などの実験機器

カテゴリー:社会・経済

 PR

PR