保護猫26匹が行方不明

田原の民家、何者かが逃がす？

　豊橋市の動物福祉団体「ハーツ」が田原市の民家周辺で捕獲し、手術の後に民家のはなれで保護していた猫26匹が今月中旬、行方不明になった。何者かドアを開け、外へ逃がした可能性がある。ハーツは田原署に届け出た。
　ハーツ代表の古橋幸子さんによると、現場では高齢の女性が一人暮らししていた。女性は飼い主のいない猫に餌やりをしていたが３月に入院した。見かねた人から連絡があり、ハーツが捕獲して不妊・去勢手術をすることになった。手術費は女性が分割で支払い、猫の飼い主を探すことで合意した。
　しかし「10匹ぐらい」という話だったが、実際は27匹が捕まった。飼い猫で手術済みの猫を含め計28匹になった。
　不妊・去勢手術と３種ワクチン接種などを済ませた。本来なら手術後は猫を元の場所に戻し、地域ぐるみで餌とトイレを管理して徐々に数を減らしていく地域猫活動をするはずだったが、長年、糞尿被害で苦しんでいた近所の人が反対したため断念。具合の悪かった子猫２匹を引き取り、残りは女性宅のはなれに収容し、シェルターのように運用する計画だった。ハーツがブログで猫の世話係ボランティアを募集したのが今月12日だ。
　ところが13日「猫が全部外へ出ている」と古橋さんに連絡があった。現場に駆けつけると、離れのドア２カ所が開け放たれており、猫はすべていなくなっていた。近所の人は「昨夜（12日）のうちに出たと思う。ドアが開いているのが見えた」などと話したという。
人為的可能性高い

　ハーツは間違って猫を逃さないよう、内扉に「外のサッシ戸は必ず閉めてから、中のドアを開けてください」との張り紙をしていた。猫がドアを開けられる構造にはなっておらず、人為によるものとみられる。
　猫を捕獲するためハーツのメンバーが豊橋市から何日間も通い、ようやく全頭保護したと思った直後の出来事だった。田原署に状況を詳しく説明し、現場に行ってもらうことになった。
　古橋さんは「一度捕獲器に入った猫は警戒心が強く、再び捕まえるのは至難の業だ。ここまで全費用を負担したができることには限界がある。地域の協力がなくては」と話している。
【山田一晶】