豊橋の白井さん夫妻 合わせて200歳

　夫婦合わせて２００歳－。豊橋市の白井晃さんが５日、１０６歳の誕生日を迎え、94歳の妻・すわ子さんと共にちょうど２００歳、家族が２人の長寿を祝福した。
　豊橋市などにある食品スーパーマーケット「クックマート」を展開するデライト（同市）の会長を務める長男・正樹さん（68）の両親。夫婦二人三脚でクックマートの礎を築いた。
　白井さんは１９１１（明治44）年の豊橋生まれ。法政大学を卒業後、国鉄に就職したが、徴兵で陸軍の歩兵第18連隊（豊橋）に入隊した。中国などに赴いたが、九死に一生を得た。
　「壮絶な戦争体験は何度も聞かされた。父の口癖は『いつも俺は運の良い男だ』。全て運良く生かされ、今がある」と正樹さん。
　終戦後、国鉄に復職したが、すわ子さんが内職で始めた天ぷら屋が忙しくなり、白井さんは退職、商人の道に進んだ。その後、店は食品総菜店（マルイ惣菜店）となり、合併、独立などを経て現在のクックマートにつながる。
　白井さん夫妻は戦時中の43年に結婚。「ものすごく働いたけど、よく遊んだ。夫婦２人で60回近く海外旅行に出掛けた」とすわ子さんは笑顔で話す。現在、２人とも豊橋市内の福祉施設に入所、隣同士の部屋で暮らすが、今も仲の良さは変わらない。
　豊橋市内の男性で最高齢の白井さんは耳が遠くなったものの、病気もなく、食事は自分で何でも食べる。特に魚が好きという。すわ子さんも病気はなく、「豆類が好き」と笑う。
　白井さんの１００歳を機に毎年、正樹さんと長女、次女の夫妻が日本料理店で誕生会を開催し、両親の長寿を祝う。正樹さんは「国鉄職員から独立し、母と二人三脚で事業を伸ばした。私自身も運よくスーパーマーケットの道を歩んでいることは父の影響によるもので、その精神は今のクックマートにも息づいている」と話す。
　結婚して74年の白井さん夫妻。２人の歩みをつづった人生史を書き残しているが、それも２００６年までで「その後10年をまとめたい」とすわ子さん。健康だけでなく、夫婦の絆も健在だ。
（中村晋也）