最後になった三人展

水彩画仲間の太田さん急逝
　豊橋市南大清水町の喫茶＆ギャラリー「カーザビヤンカ」で、市内の太田省三さん（享年85）、今泉勇さん（85）、平山勝さん（83）による「第16回水彩画三人展」が開催中。病を乗り越え、創作に打ち込んできた仲間だが、展示を心待ちにしていた太田さんが急逝、今回が最後の3人展となった。９月２日まで。
　太田さんと今泉さんは愛知学芸大の同期生で、中学から教員時代まで仲良く同じ道を歩んだ。平山さんは今泉さんから水彩画を学び、数年前に脳梗塞で倒れたものの再び絵筆を握っている。
　教職に携わる傍ら絵に興味を持ち、共に日本水彩画会豊橋支部に所属、退会後も３人で切磋琢磨し、２００３年の第１回を皮切りに合同発表を重ねてきた。16回展を前に太田さんが急逝、追悼展を開く運びになった。
　水彩画のみならず俳句や俳画、書など多才だった太田さん。今展では才能豊かな故人を偲ぼうと多彩な遺作を用意した。合同展用に準備していた俳句の軸をはじめ、黒澤田楽の獅子面や牛川の渡し、高崎の観音、富士山などの絵画や句集など並べている。
　今泉さん、平山さんも新作を含む力作を展示。今泉さんは伊良湖を題材にした爽やかな風景画や太田さんの肖像画など、平山さんは温かみある風景画や繊細な静物画を並べた。「断腸の思いで作品展を終回にする」と２人。連日教え子らが来場し、３人の作品を鑑賞すると共に故人を偲（しの）んでいる。
（田中博子）