豊橋歌謡選手権12年度チャンピオン・吉川さんが乳がん克服しデビュー

　東愛知新聞社主催・豊橋歌謡選手権の２０１２年度チャンピオンで、昨年10月にアクトラスレコード（東京）からデビューした吉川ひとみ（本名・小川浩子）さんが、キャンペーンの一環で本社を訪れた。デビュー曲のＣＤ「愛を凍らせて」＆カップリング曲「午前０時の約束」を手にした吉川さんは、自身が乳がんを克服してデビューした経緯から、「病気に苦しんでいる人が、私の歌を聴いて頑張ってもらえればうれしい」と話した。
　がんを患っていると知ったのは、チャンピオンに輝いた翌年の13年夏。同年10月の歌謡選手権には、前回チャンピオンが歌唱披露する晴れ舞台が用意されていた。吉川さんは、県がんセンターから早急の手術を促されていたが、この舞台が終わるまで執刀を拒んだ。「もう人前で歌うことはできないかもしれない。チャンピオンとしての役割を果たしたい」と。笑顔でステージに立った吉川さん。２曲目『南国土佐に雪が降る』を歌う時は、「泣き声を抑えるのがやっとでした」と振り返る。
　つらかった闘病生活を救ったのは、ベッドで詩を書くことだった。「自分を立ち直らせようと書き始めたら、気分が楽になったんです」と明かす吉川さん。「不思議と言葉が浮かんできました。詩にメロディーを付ければ曲になる。小さい時からあこがれていたプロ歌手になれるかもしれない」。
　今回リリースした「午前０時の約束」は、がんと戦う吉川さんが、自身で作詞・作曲した４作品のうちの１つ。横浜のホテルでの逢い引きを、踊りだしたくなるようなデュエットで、軽快に歌い上げた。一方「愛を凍らせて」は、デュエットで男役を演じた作曲家・宗宮成則さん（名古屋市）の作詞・作曲。しっとりとした大人の女性が、恋の終わりをバラード調に歌ったもので、通信カラオケＤＡＭにもエントリーされいる。
　「愛を凍らせては、なぜか宮崎県でたくさん歌われているんです。午前０時の方も、もうすぐＤＡＭに載る予定。まず地元の人たちにファンになってもらい、全国で活躍できるようになりたい」と目を輝かす吉川さん。東愛知新聞友の会会員でもある。「10年間はがん再発に気を配らなければならない」と自分に言い聞かせながらも、「病気にめげず、私の歌を聴いてほしい」と、笑顔でＰＲしていた。
（藤田彰彦）