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「60歳からの主張」で豊橋の本田さん入賞

受賞の感想を語る本田さん=さくらピアで
受賞の感想を語る本田さん=さくらピアで

 “もうひとつの成人式”と銘打ち、全国老人福祉施設協議会が全国の60歳以上の人から作品を募る「第15回60歳からの主張」で、豊橋市の本田栄子さんの「還暦からの手話通訳者は」が「エッセイ・小論文部門」で入賞した。
 「60歳からの主張」は成人の日に合わせ、「本当に耳を傾けるべきは今日の平和で豊かな国づくりを担ってきた60歳以上の声」の趣旨で毎年行うコンテスト。昨年9月17~11月11日の応募期間に、全国から「エッセイ・小論文」「川柳」の計5521作が寄せられた。
 同部門で優秀賞(1人)に次ぐ入賞に選ばれたのは本田さんら3人で、両部門あわせても愛知からの受賞はただ1人。本田さんは手話通訳士・防災士で、同市障害者福祉会館「さくらピア」事務長も務める。偶然、作品募集を見つけ、普段自分の事を綴(つづ)る機会がないことから筆を執ったという。
 本田さんは所沢出身。耳の不自由な幼なじみがいたことがきっかけで手話を学び、結婚・出産・育児を経て豊橋で手話通訳者の活動を始めた。作品では、手話を始めるいきさつや、手話通訳で出会った人々との喜びや悲しみのエピソード、自身が還暦を迎え体の衰えを感じたことなど記述した。
 若い人は聞こえても自分には聞き取りにくい音があったり、長時間の通訳に疲れを感じるようになったり…と体力の要る現場の厳しさに“引退”の文字が浮かんだ時、昔より役立っていると実感する場面を思い出す。それは長年積み重ねた知識や技術、現場での経験から会得した、不安な障害者の心に配慮し、親身になって寄りそう技。「引退するのはもう少し先でいいだろう」と結んでいる。
 「年齢を重ねた自分との向き合い方を考えた。この30年に思い出に残ることは多い。高齢社会の今だからこそ、この年齢で生きる役割も。経験値の中で予測しながら力を生かしたい。ベテランならではの活躍の場があることを伝えたかった」と本田さん。東京での表彰式では手話を交えて作品を発表した。「豊橋でも、障害者のコミュニケーション手段の利用促進に関する条例ができた。聞こえない人が社会に出るには通訳者が必要。受賞を機に手話通訳に関心を持つ人が増えれば」と熱く語る。
(田中博子)

 “もうひとつの成人式”と銘打ち、全国老人福祉施設協議会が全国の60歳以上の人から作品を募る「第15回60歳からの主張」で、豊橋市の本田栄子さんの「還暦からの手話通訳者は」が「エッセイ・小論文部門」で入賞した。
 「60歳からの主張」は成人の日に合わせ、「本当に耳を傾けるべきは今日の平和で豊かな国づくりを担ってきた60歳以上の声」の趣旨で毎年行うコンテスト。昨年9月17~11月11日の応募期間に、全国から「エッセイ・小論文」「川柳」の計5521作が寄せられた。
 同部門で優秀賞(1人)に次ぐ入賞に選ばれたのは本田さんら3人で、両部門あわせても愛知からの受賞はただ1人。本田さんは手話通訳士・防災士で、同市障害者福祉会館「さくらピア」事務長も務める。偶然、作品募集を見つけ、普段自分の事を綴(つづ)る機会がないことから筆を執ったという。
 本田さんは所沢出身。耳の不自由な幼なじみがいたことがきっかけで手話を学び、結婚・出産・育児を経て豊橋で手話通訳者の活動を始めた。作品では、手話を始めるいきさつや、手話通訳で出会った人々との喜びや悲しみのエピソード、自身が還暦を迎え体の衰えを感じたことなど記述した。
 若い人は聞こえても自分には聞き取りにくい音があったり、長時間の通訳に疲れを感じるようになったり…と体力の要る現場の厳しさに“引退”の文字が浮かんだ時、昔より役立っていると実感する場面を思い出す。それは長年積み重ねた知識や技術、現場での経験から会得した、不安な障害者の心に配慮し、親身になって寄りそう技。「引退するのはもう少し先でいいだろう」と結んでいる。
 「年齢を重ねた自分との向き合い方を考えた。この30年に思い出に残ることは多い。高齢社会の今だからこそ、この年齢で生きる役割も。経験値の中で予測しながら力を生かしたい。ベテランならではの活躍の場があることを伝えたかった」と本田さん。東京での表彰式では手話を交えて作品を発表した。「豊橋でも、障害者のコミュニケーション手段の利用促進に関する条例ができた。聞こえない人が社会に出るには通訳者が必要。受賞を機に手話通訳に関心を持つ人が増えれば」と熱く語る。
(田中博子)

受賞の感想を語る本田さん=さくらピアで
受賞の感想を語る本田さん=さくらピアで

カテゴリー:社会・経済

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