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豊橋で「盲ろう者」啓発事業

盲ろう者の現状などについて講演する金政会長㊧=さくらピアで
盲ろう者の現状などについて講演する金政会長㊧=さくらピアで

 “盲ろう者”について広く知ってもらおう-と、あいち聴覚障害者センター(名古屋市)は18日、豊橋市障害者福祉会館「さくらピア」で啓発事業を展開。盲ろう当事者らの講演や疑似体験など通し、参加者に障害について知ってもらうと共に支援協力を呼び掛けた。
 盲ろう者とはヘレン・ケラーで知られるような聴覚と視覚の両方に障害のある人で、全国に約1万4000人、愛知には約1000人(うち名古屋が約600人)いるという。盲ろう者の自立や社会参加にはサポーターとして「盲ろう者向け通訳介助員」が重要な役割を担う。視覚・聴覚の重複障害に応じた外出・情報伝達などの支援を行うものだが、その人数は少ない。養成講座も頻回ではなく、障害当事者数も多くないため派遣機会も少なくて介助員が登録を辞めるケースもあるという。そのため、東三河の障害当事者が支援を求める際に名古屋からの派遣になる場合もあるそうだ。
 今回、厳しい状況である東三河で啓発活動を展開しようと、同センターの企画で講演を実施。地元の聴覚障害者や視覚障害者を支援するグループや相談員など約30人が参加した。
 講演では、県内の障害当事者や支援者で構成する「愛知盲ろう者友の会」の金政かおり会長が「盲ろう者とは」と題し、自身の障害や同友の会の成り立ち、盲ろう者には「全盲ろう(全く見えなくて全く聞こえない人)」「全盲難聴(全く見えなくて、少し聞こえる人)」「弱視ろう(少し見えて全く聞こえない人)」「弱視難聴(少し見えて少し聞こえる人)」の4つの種類があること、障害の発生順による5つの種別があることなど説明。
 盲ろう者のコミュニケーション手段として、間近で手話を行う「接近手話」や相手の手を触りながら読み取る「触手話」をはじめ、「指文字」「指点字」「ブリスタ(速記用点字タイプライター)」「手のひら書き」「筆談」、耳近くでの口話やマイクを使う「音声」などを紹介したほか、盲ろう者の社会参加にはさまざまな場面でサポーターが必要であることを訴え、専門のサポート資格がある盲ろう者向け通訳介助員派遣事業について言及。「皆さんがもし盲ろう者にお会いすることがあれば、何かしらの支援をしてほしい」などと呼び掛けた。
 続いて同友の会の近藤ゆかり事務局長が「盲ろう者の支援には?」と題し、盲ろう者の支援には何が必要かや、盲ろう者向け通訳介助員について説明した。講演後の「疑似体験」では、参加者が目隠しをする側と話しかける側に分かれ、交替で手のひら書きでの会話に挑戦、意思疎通の難しさや喜びを体感した。同センターでは「今後も東三河での啓発活動を考えていきたい」としている。
(田中博子)

 “盲ろう者”について広く知ってもらおう-と、あいち聴覚障害者センター(名古屋市)は18日、豊橋市障害者福祉会館「さくらピア」で啓発事業を展開。盲ろう当事者らの講演や疑似体験など通し、参加者に障害について知ってもらうと共に支援協力を呼び掛けた。
 盲ろう者とはヘレン・ケラーで知られるような聴覚と視覚の両方に障害のある人で、全国に約1万4000人、愛知には約1000人(うち名古屋が約600人)いるという。盲ろう者の自立や社会参加にはサポーターとして「盲ろう者向け通訳介助員」が重要な役割を担う。視覚・聴覚の重複障害に応じた外出・情報伝達などの支援を行うものだが、その人数は少ない。養成講座も頻回ではなく、障害当事者数も多くないため派遣機会も少なくて介助員が登録を辞めるケースもあるという。そのため、東三河の障害当事者が支援を求める際に名古屋からの派遣になる場合もあるそうだ。
 今回、厳しい状況である東三河で啓発活動を展開しようと、同センターの企画で講演を実施。地元の聴覚障害者や視覚障害者を支援するグループや相談員など約30人が参加した。
 講演では、県内の障害当事者や支援者で構成する「愛知盲ろう者友の会」の金政かおり会長が「盲ろう者とは」と題し、自身の障害や同友の会の成り立ち、盲ろう者には「全盲ろう(全く見えなくて全く聞こえない人)」「全盲難聴(全く見えなくて、少し聞こえる人)」「弱視ろう(少し見えて全く聞こえない人)」「弱視難聴(少し見えて少し聞こえる人)」の4つの種類があること、障害の発生順による5つの種別があることなど説明。
 盲ろう者のコミュニケーション手段として、間近で手話を行う「接近手話」や相手の手を触りながら読み取る「触手話」をはじめ、「指文字」「指点字」「ブリスタ(速記用点字タイプライター)」「手のひら書き」「筆談」、耳近くでの口話やマイクを使う「音声」などを紹介したほか、盲ろう者の社会参加にはさまざまな場面でサポーターが必要であることを訴え、専門のサポート資格がある盲ろう者向け通訳介助員派遣事業について言及。「皆さんがもし盲ろう者にお会いすることがあれば、何かしらの支援をしてほしい」などと呼び掛けた。
 続いて同友の会の近藤ゆかり事務局長が「盲ろう者の支援には?」と題し、盲ろう者の支援には何が必要かや、盲ろう者向け通訳介助員について説明した。講演後の「疑似体験」では、参加者が目隠しをする側と話しかける側に分かれ、交替で手のひら書きでの会話に挑戦、意思疎通の難しさや喜びを体感した。同センターでは「今後も東三河での啓発活動を考えていきたい」としている。
(田中博子)

盲ろう者の現状などについて講演する金政会長㊧=さくらピアで
盲ろう者の現状などについて講演する金政会長㊧=さくらピアで

カテゴリー:社会・経済

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