航海実習で県大会欠場の3年生「最後の夏」

三谷水産高野球部が親善試合

　蒲郡市の三谷水産高校野球部が18日夜、岡崎市民球場で新城市の新城東作手・新城高校の合同チームとの親善試合に臨んだ。航海実習で今夏県大会に出場できなかった３年生５人も出場。雨の中、３イニングのみの“最後の夏”となったが、感謝の思いを胸に完全燃焼した。
　照明の光の下、スタンドには応援団や父母も駆けつけた。三谷水産は２回、３点を奪われるが、３回裏に主将・近藤楓我さんが右中間を破る二塁打などで２点を返した。強まる雨で３回コールド中止となったが、泥まみれになった両ナインは笑顔で固い握手を交わした。
　県大会は先月29日の初戦で敗退。「愛知丸」での約２カ月の航海実習から帰ってくる直前だった近藤さんのほか、稲吉春希さん、三浦嵩斗さん、泰道仁路さん、木村大河さんが夏の大会を戦わずして野球部を引退していたことから、関係者のはからいで特別試合が実現した。最後の打者としてファウルで粘った三浦さんは「愛知丸で敗戦を知ったけど、夏が終わったとは思えなかった。不完全燃焼だった」と余っていた力を出し切った。
　三谷水産と新城東作手は部員不足から、２０１６年秋と翌年春に合同チームとして公式戦を戦った。入学時に一緒に汗を流した近藤さんは「やっているうちに真剣モードになった」と振り返り、作手ナインに「特別な存在です」と感謝した。父・勝己さん（43）も「実習から帰宅後も残念がっていた。試合が設けられたことはありがたいこと」と話した。
　試合後、忠内紀尚監督（35）は「この雨があの日（県大会初戦）に降っていたら…」と言いつつ、ナインに「いろんな人の協力でできた試合。小さなことから大きなことにまで感謝の気持ちを持てる人間になってほしい。きょうの３イニングの経験を生かしていい男になってくれ」と最後の言葉を贈った。
　三谷水産の元監督である新城の藤城賢監督（43）も「三谷水産の子が本気の顔で、うちの部員も刺激になった。何年か先、この日のことを語り合ってほしい」と期待した。
（由本裕貴）
▽親善試合
新城東作手・新城
０３０｜３
００２｜２
三谷水産
（降雨３回コールド）
（新）清水小－清水真
（三）稲吉、吉田蓮－近藤
（岡崎市民球場）