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ママ美容師の復帰を支援

スタイリストの石山さん。「美容師を続け、ママさんたちをきれいにしたい」と話す=豊橋市佐藤3の美容院「カミキリ キリエ」で
スタイリストの石山さん。「美容師を続け、ママさんたちをきれいにしたい」と話す=豊橋市佐藤3の美容院「カミキリ キリエ」で

 フルタイム勤務や土・日出勤などの働き方で復帰が難しいママ美容師たち。豊橋市佐藤3の美容院「カミキリ キリエ」では、週1日3時間から働けるシフト制の導入や、託児室設置など働く環境を整え、大勢のママ美容師たちが妊娠、出産、育児とライフステージの変化に合わせ自分なりのペースで働いている。

 「つわりを我慢して働く他の美容師を見て、妊娠しながら働くのは無理だろうと思った」と語るのは、同店のスタイリスト中村留美子さん(36)。現在、4歳と1歳の男児2人を育てながら、週3日間、1日6時間ほど店に立つ。結婚を機に31歳で退職。長男を出産後、2年ほどのブランクを経て、スタイリストとして同店で復帰した。「ガツガツは働けないけれど、社会とつながっていたいと思った」。
 キリエでは、店長とアシスタント以外、すべての女性美容師が子育て中のパートタイム勤務だ。中村さんは2人目を妊娠中、つわりに悩まされたが、急な早退や休みを他の美容師にカバーしてもらいながら仕事を続けた。「他の美容師に理解があって働きやすかった」とほほ笑む。
 女性が多い美容業界だが、フルタイム勤務の常態化で、ペースに合わせた職場復帰がしにくく、結婚や出産、育児をきっかけに現場から退いてしまうケースは少なくない。免許を持ちながら働いていない休眠美容師は全国で75万人に上ると言われており、慢性的な人材不足を抱える業界にとって活用は悩みの種だった。
 キリエを運営する「ルプラボウ」(豊橋市)でも、女性が長く働ける環境整備が課題となっていた。
 そこで、2016(平成28)年12月にキリエ豊橋佐藤店を、翌年9月には豊川市駅前通4に稲荷口店を開店。主にしばらく美容師として働いていなかった人を対象に求人し、現在2店舗で17人のママ美容師が働く。
 店内の託児室には保育士の資格を持つスタッフが常駐。客だけでなく、美容師の子どもも預けられ、スタイリストの石山沙矢佳さん(32)は週3日の勤務中、1歳の次女を託して働く。「子どもが近くにいて、顔見知りの保育士に任せているので、安心して仕事ができる」と話す。
 一方で、復帰には技術的な不安もつきまとう。通常、閉店後の夜に行うカット練習を、キリエでは週1回、勤務中に取り組めるため、スキルの維持・向上も可能。また、ママ応援サロンをうたい、ルプラボウの他店舗よりカット料を安くする一方で、美容師たちにはパートでもやりがいが持てるよう、料金には含んでいないが、客からの指名に合わせて手当を給与に上乗せしている。
 今後、中村さんは子どもの成長に合わせ、出勤日数を増やす予定。石山さんも「ネイルやまつ毛もできるようになりたい」と意欲を燃やす。「やりがいのある仕事を続けてもらうため、できる限りのサポートをしていきたい」と高垣智大店長。ルプラボウでは、キリエ以外の一部の美容院にも託児室を設置。業界で常態化していた夜のミーティングを、子育て中のスタッフが参加しやすい午前中に統一した。10月には保育園も開設する。
 ルプラボウマーケティング部の山本光瑠部長は「美容師たちが限られた時間の中で最大限に力を発揮できるよう子どもを育てながら、ストレスなく働ける環境を整えていきたい」と話している。
(飯塚雪)

 フルタイム勤務や土・日出勤などの働き方で復帰が難しいママ美容師たち。豊橋市佐藤3の美容院「カミキリ キリエ」では、週1日3時間から働けるシフト制の導入や、託児室設置など働く環境を整え、大勢のママ美容師たちが妊娠、出産、育児とライフステージの変化に合わせ自分なりのペースで働いている。

 「つわりを我慢して働く他の美容師を見て、妊娠しながら働くのは無理だろうと思った」と語るのは、同店のスタイリスト中村留美子さん(36)。現在、4歳と1歳の男児2人を育てながら、週3日間、1日6時間ほど店に立つ。結婚を機に31歳で退職。長男を出産後、2年ほどのブランクを経て、スタイリストとして同店で復帰した。「ガツガツは働けないけれど、社会とつながっていたいと思った」。
 キリエでは、店長とアシスタント以外、すべての女性美容師が子育て中のパートタイム勤務だ。中村さんは2人目を妊娠中、つわりに悩まされたが、急な早退や休みを他の美容師にカバーしてもらいながら仕事を続けた。「他の美容師に理解があって働きやすかった」とほほ笑む。
 女性が多い美容業界だが、フルタイム勤務の常態化で、ペースに合わせた職場復帰がしにくく、結婚や出産、育児をきっかけに現場から退いてしまうケースは少なくない。免許を持ちながら働いていない休眠美容師は全国で75万人に上ると言われており、慢性的な人材不足を抱える業界にとって活用は悩みの種だった。
 キリエを運営する「ルプラボウ」(豊橋市)でも、女性が長く働ける環境整備が課題となっていた。
 そこで、2016(平成28)年12月にキリエ豊橋佐藤店を、翌年9月には豊川市駅前通4に稲荷口店を開店。主にしばらく美容師として働いていなかった人を対象に求人し、現在2店舗で17人のママ美容師が働く。
 店内の託児室には保育士の資格を持つスタッフが常駐。客だけでなく、美容師の子どもも預けられ、スタイリストの石山沙矢佳さん(32)は週3日の勤務中、1歳の次女を託して働く。「子どもが近くにいて、顔見知りの保育士に任せているので、安心して仕事ができる」と話す。
 一方で、復帰には技術的な不安もつきまとう。通常、閉店後の夜に行うカット練習を、キリエでは週1回、勤務中に取り組めるため、スキルの維持・向上も可能。また、ママ応援サロンをうたい、ルプラボウの他店舗よりカット料を安くする一方で、美容師たちにはパートでもやりがいが持てるよう、料金には含んでいないが、客からの指名に合わせて手当を給与に上乗せしている。
 今後、中村さんは子どもの成長に合わせ、出勤日数を増やす予定。石山さんも「ネイルやまつ毛もできるようになりたい」と意欲を燃やす。「やりがいのある仕事を続けてもらうため、できる限りのサポートをしていきたい」と高垣智大店長。ルプラボウでは、キリエ以外の一部の美容院にも託児室を設置。業界で常態化していた夜のミーティングを、子育て中のスタッフが参加しやすい午前中に統一した。10月には保育園も開設する。
 ルプラボウマーケティング部の山本光瑠部長は「美容師たちが限られた時間の中で最大限に力を発揮できるよう子どもを育てながら、ストレスなく働ける環境を整えていきたい」と話している。
(飯塚雪)

スタイリストの石山さん。「美容師を続け、ママさんたちをきれいにしたい」と話す=豊橋市佐藤3の美容院「カミキリ キリエ」で
スタイリストの石山さん。「美容師を続け、ママさんたちをきれいにしたい」と話す=豊橋市佐藤3の美容院「カミキリ キリエ」で

カテゴリー:社会・経済

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