卸団地が災害時の事業継続力強化計画策定へ

　豊橋市問屋町にある協同組合豊橋総合卸センターの卸団地が、災害時の被害軽減に事業継続力強化計画の策定に取り組み、国の認定を目指している。幅広い業種の約60社が広大な敷地(約約23万平方㍍)に立地し、昼間は約１０００人が働く団地。６班に分け、班ごとの役割を具体的に検討するなどして災害時に備える。
　卸団地は三河湾に注ぐ豊川河口近く。南海トラフ地震では、震度６強～７の揺れに見舞われ、最大で２㍍の浸水が想定され、液状化の危険度が極めて高いとされる。団地を通る道路は、市の緊急輸送道路に指定されている。
　このためＢＣＰ（事業継続計画）の作成を進めていたが、今年、中小企業庁から防災・減災の事前対策に関する事業継続力強化計画の認定制度が打ち出され、団地として認定を目指すことにした。
　事業継続力強化計画は、中小企業が自社の災害リスクを認識し、防災・減災対策の第一歩として取り組むために必要な項目を盛り込む。ＢＣＰに比べハードルが低く、取り組みやすいという。
　認定されると、税制優遇、補助金の優先採択、日本政策金融公庫による低金利融資などの利点があり、認定を証明するロゴマークも使用できるため災害への備えをしている企業をアピールできる。
　認定に向けては、同庁から委託された監査業務などのトーマツが支援し、聞き取りや、企業の議論の取りまとめで申請書を作り、中小企業にとっては手間がなく、円滑な手続きが可能となっている。
　卸団地では、個社の単独型ではなく、各社の連携による情報の収集、発信などの初動対応、避難手順、対策本部の設置などについて検討。団地の企業が10月から11月末までに４回集まり、考えた。
　災害が事業活動に与える影響をまとめているほか、各社が安全な経路で指定の場所に避難することや、対策本部に６班を設け、役割や有事の際の行動を明確化。多彩な業種の各社が持つ強みを生かしながら協力し合い、事業を継続させる方針だ。
　トーマツの担当者は「災害が起きた際の役割をきめ細やかに考えている」と評価。総合卸センターの伊東元弘理事長は「まず、危険な土地・場所であるというのを認識し、隣の会社同士が協力し合えるようにしたい」と話している。
（中村晋也）