食中毒に注意

持ち帰りや配達増えた飲食店へ訪問指導

　新型コロナウイルス感染拡大で増えたテークアウトやデリバリーの飲食店に対し、豊橋市は食中毒防止の観点から重点的に監視、指導を続けている。独自で標語「３Ｔ」＝ことば＝を作り、店舗と消費者に注意を呼びかけている。25日、豊橋駅前の「ホテルアソシア豊橋」にあるレストランで、報道陣に指導の様子を公開した。
　テークアウトやデリバリーは店内で飲食する場合と違い、調理から口にするまでの時間が長くなる。市保健所によると、監視指導は７月から始めた。当初は２カ月の予定だったが、猛暑が続いていることから１カ月延長した。テークアウトやデリバリーをしている店舗数は不明だが、豊橋商工会議所などのホームページを参考に、市内で２００店前後ではないかと分析している。９月末までに50店への訪問を準備している。

豊橋市独自の標語「３Ｔ」守り

　25日は、アソシア１階の「レストランロジェール」での指導の様子が報道陣に公開された。保健所職員は、この日のカレー弁当が厨房から運ばれ、ふたをするまでの間、表面の温度を測定して十分に加熱されているかどうかを確認した。さらに「早く食べるように指導しているか」「持ち帰りに適切な食材か」などの10項目を、チェックリストに基づいて担当者に質問した。そして、「３Ｔ」のロゴが入った事業者用と消費者用のチラシを手渡した。
　１日８食程度のテークアウトがあるという「ロジェール」の担当者は「保健所の指導を参考に、安全安心のために取り組んでいく」と話した。
　夏場は、サルモネラ菌や黄色ブドウ球菌を原因とする細菌性の食中毒が多いが、保健所によると、管内の今夏は食中毒の発生が無い。コロナ対策で感染症予防意識が高まっていることが背景にあるとの分析もある。
　一方で、保健所は、店内専門だった飲食店からコロナ対策で急にテークアウトを始めたところがあること、消費者が時間がたってから食べる懸念もあることから、引き続き指導が必要だとしている。
【山田一晶】

３Ｔ＝「Ｔｉｍｅ（時間）」「Ｔｅｍｐｅｒａｔｕｒｅ（温度）」「Ｔｅａｒａｉ（手洗い）」の頭文字。調理後から消費者が食べるまでの時間をできるだけ短く▽食品の温度管理に気をつける▽（調理前、盛り付け前、トイレ後などの）手洗いを徹底する－の意味で、ロゴとともに若手職員が発案した。豊橋市のオリジナルとして普及を目指している。