伊良湖の「道の駅」閉じたまま

　新型コロナウイルス感染拡大に伴い、田原市伊良湖町の道の駅「伊良湖クリスタルポルト」が休館して４カ月が過ぎた。８月25日から県が独自の緊急事態宣言を解除し、周辺は週末に車で訪れる観光客でにぎわっている。一方、核となる道の駅が閉じたままで地元関係者は、不安をぬぐえない。市も運営元へ要望を重ねているが、感染防止策の難しさから明確な方針を示すまでに至っていない。
　伊良湖クリスタルポルトは、同町のリゾートホテル「伊良湖シーパーク＆スパ」を経営するホテルマネージメントインターナショナル（本社・東京都中央区）が運営している。ホテルも４月６日からコロナ対策の一環で営業休止したままだ。
　道の駅をターミナルとする伊勢湾フェリーや高速船は便数を減らしながら運航を続ける。乗船客は通常、館内に設けたチケット売り場で乗船券を購入するが、休館後は館外にある営業所で直接買い求めている。
　夏以降は政府の旅行需要喚起策「ＧＯＴＯキャンペーン」の効果もあって観光客数も増えている。伊良湖港と隣接する恋路ヶ浜エリアには、海の幸を売り物にした飲食店街があり、週末になると、東京や大阪方面など県外ナンバーの車で駐車場は混雑する。
　飲食街に出店する高橋道則さん（67）は「天気のいい日は夜になっても海岸で水遊びをする家族連れが多い。海を楽しみに来てるから。ホテルや道の駅とともに、海水浴場まで休止されたから」と説明する。
　一方、道の駅の休館で、旅の帰りに特産品を買い求めたり、フェリー乗船までの空き時間を過ごしたりすることが当たり前だった旅程は組めなくなった。特にフェリー利用客は乗場付近の待合所で過ごすことになった。10人ほどで満席になるため、繁忙期に混雑すれば「３密」の心配もある。
　大阪市から友人と訪れた60代の男性は「フェリーが出発するまで、食事と買い物で時間をつぶそうとしたのにあてが外れた。行きは送迎車でホテルへ直行したので休館は想定外だ」といい、恋路ヶ浜の飲食街へ引き返した。
　静岡県から車で訪れた50歳代男性も「仕事で近くまできたので昼休みに立ち寄った。よくドライブで利用していたので、早く再開してほしい」と願った。
【加藤広宣】