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「地域猫活動」を展開 大府市の久野課長に聞く

資料を手に猫対策の現状を説明する久野課長=大府市役所で
資料を手に猫対策の現状を説明する久野課長=大府市役所で
猫を保護する市民団体がある県内の自治体(久野課長の資料を元に作成)
猫を保護する市民団体がある県内の自治体(久野課長の資料を元に作成)

 東愛知新聞は現在、新城市の猫の多頭飼育問題を継続的に取り上げている。小さな命を守るにはどうすればいいのだろう。大府市で飼い主のいない猫(野良猫)と地域が共生する活動を展開し、県内でもモデル例となった大府市納税課の久野幸裕課長に取材した。

 久野課長は以前、環境課長だった。野良猫に悩む住民たちの声を受け、市民団体をアドバイザーに「地域猫活動」を展開した経験がある。異動した今でも各地のボランティア団体が話を聞きにきたり、講演会に招かれたりしている。
 久野課長が1年半前にまとめたデータを見せてくれた。県内には38市14町2村があるが、猫の問題に取り組む市民団体がある自治体は15しかない(その後少し増えたという)。
 東三河では、本紙も何度か取り上げた豊橋市の「命にやさしいまちづくり ハーツ」と豊川市の「ニャンとかしまい豊川」の名があった。「三河は少ないですね」と久野さん。個人で活動している人はいるが、継続性や情報発信力、活動規模を考えると団体である方が望ましいという。
 15自治体のうち、不妊・去勢手術に何らかの助成金を設けてるのは13。豊橋市は雌は1万円、雄は6000円の助成が出る。豊川市はクラウドファンディングで500万円の資金を集め、10月1日から雌1万2000円、雄7000円の助成が受けられるようになる。
 「動物愛護だけでは、自治体は動けない」と久野課長。野良猫の場合は、地域の美化・環境問題として取り扱う。住民を巻き込んで、豊富なノウハウがある市民団体のアドバイスを受けながら、地域猫運動を展開することで、猫も猫好きの人も嫌いな人もウインウインの関係になる。地域住民のつながりの強化など、副次的な効果も生まれる。
 逆に、市町村側も発想の転換が必要だ、と指摘する。野良猫や多頭飼育崩壊問題を動物愛護の観点だけで考えると「県の仕事だ」と丸投げになる。地域の環境問題としてなら、自分で動ける。新城市の事例でも、異臭に気づいていた人は複数いた。そこで行政が介入すれば公金を使えるし、チラシを作ったり、ホームページで周知したりと体制ができる。そしてその問題に行政が取り組んでいるという信頼が担保される。
 多頭飼育崩壊問題で行政はいかに動くべきか。久野課長は「猫を前面に押し出すのではなく、人間の問題として考える。多頭飼育者は何か問題を抱えている人が多い。地域包括ケアシステムの中で、高齢化問題対策などの項目の一つに、猫のことに触れるようにすれば、理解も得られるのではないか」と話した。
【山田一晶】

 東愛知新聞は現在、新城市の猫の多頭飼育問題を継続的に取り上げている。小さな命を守るにはどうすればいいのだろう。大府市で飼い主のいない猫(野良猫)と地域が共生する活動を展開し、県内でもモデル例となった大府市納税課の久野幸裕課長に取材した。

 久野課長は以前、環境課長だった。野良猫に悩む住民たちの声を受け、市民団体をアドバイザーに「地域猫活動」を展開した経験がある。異動した今でも各地のボランティア団体が話を聞きにきたり、講演会に招かれたりしている。
 久野課長が1年半前にまとめたデータを見せてくれた。県内には38市14町2村があるが、猫の問題に取り組む市民団体がある自治体は15しかない(その後少し増えたという)。
 東三河では、本紙も何度か取り上げた豊橋市の「命にやさしいまちづくり ハーツ」と豊川市の「ニャンとかしまい豊川」の名があった。「三河は少ないですね」と久野さん。個人で活動している人はいるが、継続性や情報発信力、活動規模を考えると団体である方が望ましいという。
 15自治体のうち、不妊・去勢手術に何らかの助成金を設けてるのは13。豊橋市は雌は1万円、雄は6000円の助成が出る。豊川市はクラウドファンディングで500万円の資金を集め、10月1日から雌1万2000円、雄7000円の助成が受けられるようになる。
 「動物愛護だけでは、自治体は動けない」と久野課長。野良猫の場合は、地域の美化・環境問題として取り扱う。住民を巻き込んで、豊富なノウハウがある市民団体のアドバイスを受けながら、地域猫運動を展開することで、猫も猫好きの人も嫌いな人もウインウインの関係になる。地域住民のつながりの強化など、副次的な効果も生まれる。
 逆に、市町村側も発想の転換が必要だ、と指摘する。野良猫や多頭飼育崩壊問題を動物愛護の観点だけで考えると「県の仕事だ」と丸投げになる。地域の環境問題としてなら、自分で動ける。新城市の事例でも、異臭に気づいていた人は複数いた。そこで行政が介入すれば公金を使えるし、チラシを作ったり、ホームページで周知したりと体制ができる。そしてその問題に行政が取り組んでいるという信頼が担保される。
 多頭飼育崩壊問題で行政はいかに動くべきか。久野課長は「猫を前面に押し出すのではなく、人間の問題として考える。多頭飼育者は何か問題を抱えている人が多い。地域包括ケアシステムの中で、高齢化問題対策などの項目の一つに、猫のことに触れるようにすれば、理解も得られるのではないか」と話した。
【山田一晶】

資料を手に猫対策の現状を説明する久野課長=大府市役所で
資料を手に猫対策の現状を説明する久野課長=大府市役所で
猫を保護する市民団体がある県内の自治体(久野課長の資料を元に作成)
猫を保護する市民団体がある県内の自治体(久野課長の資料を元に作成)

カテゴリー:社会・経済

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