文字の大きさ

小さな命を守る

要請を受けて出動した消防車㊧、鐘つき堂に上る山口さんと見守る消防隊員(いずれも提供)
要請を受けて出動した消防車㊧、鐘つき堂に上る山口さんと見守る消防隊員(いずれも提供)
保護され「かねこ」と名付けられた㊧、捕まっておりに入れられた子
保護され「かねこ」と名付けられた㊧、捕まっておりに入れられた子

子猫を無事救出保護

 豊橋市花園町の豊橋別院で先月末、子猫が鐘つき堂の天井裏から下りられなくなり、出動要請を受けた消防隊が救助に駆けつける一幕があった。猫は市民団体のメンバーが捕まえ、保護された。
 「事件」の端緒は9月28日午後。豊橋市を拠点に東三河の飼い主のいない猫たちの保護活動を続ける市民団体「命にやさしいまちづくり ハーツ」に「鐘つき堂の上から猫の鳴き声がしている」との電話があった。代表の古橋幸子さんが現場に向かうと、鐘つき堂の天井奥から子猫の声がしていた。
 母猫が近くにいるだろうと、その日は引き上げたが、気になって翌日も訪ねると、猫はまだ鳴き続けていた。声が弱々しくなったように感じ、豊橋市消防に出動を要請。「すぐ行きます」との返事があり、近隣の消防隊員が消防車に乗って駆けつけた。寺側も鐘つき堂に上ることを特別に許可した。
 由緒ある寺の施設を壊してはいけない。消防隊が救助方法を検討する中、ハーツメンバーで造園業の山口次朗さん(49)が技を生かして消防隊のかけたはしごを上り、板を外して天井裏に入り、子猫を見つけた。捕獲器を設置したが中に入らなかったため、山口さんが天井裏を慎重に歩いて猫を捕まえた。
 消防隊は、捕獲器を設置した時点で引き上げていたが、電話で救出したことを伝えると「本当に良かった」と喜んでいたという。
 母猫が天井裏に入り込んで、子猫をここで産んだらしい。生後1カ月ほどの白黒の雌で、捕まえた場所にちなんで「かねこ」と名付けられた。衰弱していたが命に別状はないという。
 豊橋市消防によると、犬や猫の救出要請は年に何度かある。2017年度は11件、18年度は1件、19年度は8件だった。担当者は「人命優先は当然だが、消防の資機材を使わないと救助できない事例などには出動する」と話す。ただし「猫が逃げたから捕まえてくれ」などはNGだ。
 かつては出動を断られたこともあったというハーツの古橋代表は「世の中が変わったと感じている」と話す。かねこの新しい飼い主を探している。
【山田一晶】

子猫を無事救出保護

 豊橋市花園町の豊橋別院で先月末、子猫が鐘つき堂の天井裏から下りられなくなり、出動要請を受けた消防隊が救助に駆けつける一幕があった。猫は市民団体のメンバーが捕まえ、保護された。
 「事件」の端緒は9月28日午後。豊橋市を拠点に東三河の飼い主のいない猫たちの保護活動を続ける市民団体「命にやさしいまちづくり ハーツ」に「鐘つき堂の上から猫の鳴き声がしている」との電話があった。代表の古橋幸子さんが現場に向かうと、鐘つき堂の天井奥から子猫の声がしていた。
 母猫が近くにいるだろうと、その日は引き上げたが、気になって翌日も訪ねると、猫はまだ鳴き続けていた。声が弱々しくなったように感じ、豊橋市消防に出動を要請。「すぐ行きます」との返事があり、近隣の消防隊員が消防車に乗って駆けつけた。寺側も鐘つき堂に上ることを特別に許可した。
 由緒ある寺の施設を壊してはいけない。消防隊が救助方法を検討する中、ハーツメンバーで造園業の山口次朗さん(49)が技を生かして消防隊のかけたはしごを上り、板を外して天井裏に入り、子猫を見つけた。捕獲器を設置したが中に入らなかったため、山口さんが天井裏を慎重に歩いて猫を捕まえた。
 消防隊は、捕獲器を設置した時点で引き上げていたが、電話で救出したことを伝えると「本当に良かった」と喜んでいたという。
 母猫が天井裏に入り込んで、子猫をここで産んだらしい。生後1カ月ほどの白黒の雌で、捕まえた場所にちなんで「かねこ」と名付けられた。衰弱していたが命に別状はないという。
 豊橋市消防によると、犬や猫の救出要請は年に何度かある。2017年度は11件、18年度は1件、19年度は8件だった。担当者は「人命優先は当然だが、消防の資機材を使わないと救助できない事例などには出動する」と話す。ただし「猫が逃げたから捕まえてくれ」などはNGだ。
 かつては出動を断られたこともあったというハーツの古橋代表は「世の中が変わったと感じている」と話す。かねこの新しい飼い主を探している。
【山田一晶】

要請を受けて出動した消防車㊧、鐘つき堂に上る山口さんと見守る消防隊員(いずれも提供)
要請を受けて出動した消防車㊧、鐘つき堂に上る山口さんと見守る消防隊員(いずれも提供)
保護され「かねこ」と名付けられた㊧、捕まっておりに入れられた子
保護され「かねこ」と名付けられた㊧、捕まっておりに入れられた子

カテゴリー:社会・経済

 PR

PR