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人材派遣のキョウエイがマスク製造

マスクの製造ライン=いずれも豊橋市雲谷町で
マスクの製造ライン=いずれも豊橋市雲谷町で
マスクを減菌する機械
マスクを減菌する機械
手作業による袋詰め。あえて機械化しなかった
手作業による袋詰め。あえて機械化しなかった

 人材派遣業のキョウエイ(豊橋市大岩町)は、使い切りタイプの不織布マスク製造を雲谷町で始めた。新型コロナウイルス感染拡大で、春先に生じたマスク不足の背景には、中国などの外国に生産を依存したことがあった。マスクの地産地消を目指す挑戦だ。それは、コロナ不況下で仕事を求めている人たちの働き口の確保にもなる。11月には市内で2カ所目の製造工場を立ち上げ、より高性能の医療用マスク製造向けの2ラインを稼働させる。
 キョウエイは2001年6月の設立。豊橋や豊川、湖西の各市にある製造工場などへ人材を派遣している。登録しているのは日本人だけでなくブラジル、フィリピン、ペルー人ら数百人だった。しかしコロナの影響で操業停止する工場もあり、今では150人ほどに減った。営業部の福井健一郎次長(32)は「工場が操業停止となると、派遣の人員が最初に切られる。彼らのために、会社としても何とかしたかった」と語る。
 緊急事態宣言が出た際は、工場に休業要請があった。自社の存続も考えなければならなかった。そこで他業種での事業拡大を模索し、不織布マスクの生産を決めた。
 中国など外国で作られるマスクは、輸入が安定しない。また、ひもが取れるなど欠陥もある。これを自社で生産する。国内でマスク製造機を取り扱う業者を訪ね、大阪府の貿易商社の仲介で機械を購入した。
 自社にマスク事業部を立ち上げ、7月に法人登記を変更した。7500万円かけて理髪店だった建物を借りて改装した。マスクのガーゼ部分をつくる機械、ゴムひもを付ける溶着機、滅菌機、個別包装機、ビニールカーテンを設置して、8月中旬から本格稼働した。
 製造は、マスク生地を三層にする工程から始まる。実は、包装まで1台でできる機械もあるが、あえて個々の工程用の機械を導入した。人手をかけて、雇用を生むことを念頭に入れた結果だ。「検品は、どうしても人の目によるチェック体制が必要。そこに人を投入するようにしました」と三浦勝社長(51)は説明する。
 生産には5人が従事している。ピーク時には午前8時から翌朝8時まで2班体制でラインを動かす。最大で1日2万枚を生産する。工場では、自動車部品工場や宿泊施設の休業によって雇い止めにあった人や、来日2年未満のブラジル人が働いている。
 フィリピン出身の布村健治さん(28)は「車のシートを製造する工場で働いていたが、仕事がストップしました。柔らかい生地で息苦しくないマスクを作って、多くの人に使ってもらえれば」と話す。ブラジル・サンパウロ出身のソウザ・リカさん(45)は「母国では多くの人たちが新型コロナで亡くなっている。日本は互いに注意しあって命を守っている。素晴らしい」と語った。
 同社は11月に大岩町の元娯楽施設を第2工場として稼働させる。「冬場を迎え、新型コロナだけでなくインフルエンザ対策としてもマスクが必要となる。さらに医療用のマスクも不足させないためにも、地元の生産量を増やしたい」と三浦社長は意気込んでいる。
【安藤聡】

 人材派遣業のキョウエイ(豊橋市大岩町)は、使い切りタイプの不織布マスク製造を雲谷町で始めた。新型コロナウイルス感染拡大で、春先に生じたマスク不足の背景には、中国などの外国に生産を依存したことがあった。マスクの地産地消を目指す挑戦だ。それは、コロナ不況下で仕事を求めている人たちの働き口の確保にもなる。11月には市内で2カ所目の製造工場を立ち上げ、より高性能の医療用マスク製造向けの2ラインを稼働させる。
 キョウエイは2001年6月の設立。豊橋や豊川、湖西の各市にある製造工場などへ人材を派遣している。登録しているのは日本人だけでなくブラジル、フィリピン、ペルー人ら数百人だった。しかしコロナの影響で操業停止する工場もあり、今では150人ほどに減った。営業部の福井健一郎次長(32)は「工場が操業停止となると、派遣の人員が最初に切られる。彼らのために、会社としても何とかしたかった」と語る。
 緊急事態宣言が出た際は、工場に休業要請があった。自社の存続も考えなければならなかった。そこで他業種での事業拡大を模索し、不織布マスクの生産を決めた。
 中国など外国で作られるマスクは、輸入が安定しない。また、ひもが取れるなど欠陥もある。これを自社で生産する。国内でマスク製造機を取り扱う業者を訪ね、大阪府の貿易商社の仲介で機械を購入した。
 自社にマスク事業部を立ち上げ、7月に法人登記を変更した。7500万円かけて理髪店だった建物を借りて改装した。マスクのガーゼ部分をつくる機械、ゴムひもを付ける溶着機、滅菌機、個別包装機、ビニールカーテンを設置して、8月中旬から本格稼働した。
 製造は、マスク生地を三層にする工程から始まる。実は、包装まで1台でできる機械もあるが、あえて個々の工程用の機械を導入した。人手をかけて、雇用を生むことを念頭に入れた結果だ。「検品は、どうしても人の目によるチェック体制が必要。そこに人を投入するようにしました」と三浦勝社長(51)は説明する。
 生産には5人が従事している。ピーク時には午前8時から翌朝8時まで2班体制でラインを動かす。最大で1日2万枚を生産する。工場では、自動車部品工場や宿泊施設の休業によって雇い止めにあった人や、来日2年未満のブラジル人が働いている。
 フィリピン出身の布村健治さん(28)は「車のシートを製造する工場で働いていたが、仕事がストップしました。柔らかい生地で息苦しくないマスクを作って、多くの人に使ってもらえれば」と話す。ブラジル・サンパウロ出身のソウザ・リカさん(45)は「母国では多くの人たちが新型コロナで亡くなっている。日本は互いに注意しあって命を守っている。素晴らしい」と語った。
 同社は11月に大岩町の元娯楽施設を第2工場として稼働させる。「冬場を迎え、新型コロナだけでなくインフルエンザ対策としてもマスクが必要となる。さらに医療用のマスクも不足させないためにも、地元の生産量を増やしたい」と三浦社長は意気込んでいる。
【安藤聡】

マスクの製造ライン=いずれも豊橋市雲谷町で
マスクの製造ライン=いずれも豊橋市雲谷町で
マスクを減菌する機械
マスクを減菌する機械
手作業による袋詰め。あえて機械化しなかった
手作業による袋詰め。あえて機械化しなかった

カテゴリー:社会・経済

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