豊橋市中心部などでも「ウーバーイーツ」

　オンラインの飲食出前代行「ウーバーイーツ」が今月から、豊橋市中心部と周辺でサービスを始めた。現在は18店が登録しており、コロナ禍で制約を強いられる飲食店には新たな販売手法と期待される。一方、手数料を上乗せした商品価格について、節約志向が強い地域で通用するかにも注目が集まる。配達員は広域で活動する人も多く、安定的に人員が集まるかも課題になりそうだ。
　客がウーバーのアプリなどで注文。店や配達先の近くにいる配達員が店で商品を受け取り、注文先まで届ける。配達エリアは中心部から直線距離で最大約５㌔。自転車やバイクが大半で、少数だが乗用車で配達する人もいる。
　店側は、商品代金に配達員報酬などを含めた手数料35％を上乗せした金額で販売する。配達員の手配が間に合わず、料理の作り直しなどがあった場合は本部の専用窓口に連絡すれば全額保証される仕組みだ。
　配達員が活動できる時間は午前９時から午前０時までの15時間。スマートフォンの位置情報をもとに本部から注文連絡が入る。配達での固定料金と配達距離や天候に応じて変わる料金の合計から、ウーバー手数料を引いた額が報酬となる。１件当たり約４００円、慣れれば時間約２０００円が見込めるという。
　このほか、配達員不足時に支払われる割増手当、取引完了後に満足した客からアプリを通じてもらえる「チップ」も副収入となる。
　配達員は一つのエリアにとどまらない。専業にしている鳥山雅義さん（46）は８月から地元の浜松市を拠点に始めたが、注文減少に伴い、サービスが始まった豊橋と豊田までエリアを広げた。鳥山さんによると、激戦の名古屋市から周辺地域へ流れる人も多く、中には姫路市まで遠征した同業者もいるという。鳥山さんは「１カ所で腰を据えれば一日で30件ほど受注できる」と説明する。
　オリジナルケーキで人気の「カフェ＆ガトー・ノード」（豊橋市駅前大通１）はサービス開始と同時に登録した。ランチメニューの一つで、冷めても味が落ちにくいタコライス（６５０円）を提供する。現在は初回特典もあって注文も順調に推移している。
　財布のひもが堅いとされる地域柄、手数料負担などを上乗せした価格について、店主の河合伸行さん（45）は「単純に店内価格の倍になるが、多様な売り方は不可欠。魅力的な商品とサービスで納得してもらえるかがカギだ」と話す。
【加藤広宣】