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「猫の里親」裁判経過報告

会見する菊地弁護士、堀岡さん、古橋さん(右から)=豊橋市役所で
会見する菊地弁護士、堀岡さん、古橋さん(右から)=豊橋市役所で
イシマツ(提供)
イシマツ(提供)
行方不明の8匹
行方不明の8匹

 豊橋市前田南のレストラン経営堀岡宏充さん(60)が、譲渡した猫9匹の返還などを女性4人に求めている「里親詐欺訴訟」で、裁判の進行状況を説明する記者会見が12日あった。堀岡さんと菊地令比等弁護士、市民団体「命にやさしいまちづくり ハーツ」の古橋幸子代表が出席した。本紙が8日付で報じた猫1匹の発見についても報告された。
 菊地弁護士によると、名古屋地裁豊橋支部での訴訟は昨年8月4日の第1回口頭弁論以降、9月1日、11月5日、今月8日と弁論準備があった。被告の女性側が「猫は間に入った女性から各自が引き取ったもので、『室内飼いする』『猫の様子を知らせる』『愛情をもって育てる』などの5条件の契約は、原告に対し直接の義務を負わない」などと主張したという。
 そこで菊地弁護士らは、間に立った女性は仲介役に過ぎず、猫を引き取ったとされる女性らとの間にも堀岡さんとの契約が維持されていること、生き物を引き取る以上、大切に育てるという信義則上の義務を負うことなどを主張したと説明した。
 また被告側は「猫はすべて逃げていなくなった」などとしている。だが堀岡さんらは、女性たちの自宅周辺の聞き込みの結果、警察や保健所に届けたり、周辺を捜したりした形跡がないこと、そもそも一部を除いて自宅に猫がいた形跡がないことなどを指摘した。
 さらに、本来は豊川市の女性(訴外)に引き取られたはずの猫「イシマツ」が昨年12月、同市中心部から20㌔近く離れた蒲郡市形原町の双太山公園で発見されたことを準備書面で示した。米科学誌に掲載された論文や獣医師が書いた本からも、猫は住んでいるエリアからの移動を好まず、100㍍四方の狭いエリアを移動していることが科学的に立証されており、被告らが共謀して猫を遺棄したことが推測されるとしている。
 菊地弁護士は「猫を保護してきた堀岡さんや古橋さんの長年の経験と文献の調査から、被告らの主張が不合理だと立証できる」と述べた。支援を続ける古橋さんは「県内の有力な15の地域猫活動団体から『猫がすべて逃げ出すことはありえない』という証言を得た。証拠として提出する」と話している。
 原告の堀岡さんは「イシマツが見つかったことがまだ信じられない思いだ。被告を責めているのではない。残り8匹の猫が戻ってくればそれでいい。寒さが厳しい時期だがまだ間に合う。被告は自分の身を守ることを考えるのではなく、猫がいなくなった状況を明らかにし、一緒に捜してほしい」と訴えた。
 一方、菊地弁護士は発見された猫がイシマツであるかどうかについて、被告側は争わないという見通しを示した。イシマツの返還請求は取り下げることになる。被告側が合意すれば、1年2カ月ぶりに見つかった猫がイシマツであることに争いはなくなり、なぜ20㌔も離れた場所にいたのかの解明と、残りの猫の発見が待たれる。
【山田一晶】

 豊橋市前田南のレストラン経営堀岡宏充さん(60)が、譲渡した猫9匹の返還などを女性4人に求めている「里親詐欺訴訟」で、裁判の進行状況を説明する記者会見が12日あった。堀岡さんと菊地令比等弁護士、市民団体「命にやさしいまちづくり ハーツ」の古橋幸子代表が出席した。本紙が8日付で報じた猫1匹の発見についても報告された。
 菊地弁護士によると、名古屋地裁豊橋支部での訴訟は昨年8月4日の第1回口頭弁論以降、9月1日、11月5日、今月8日と弁論準備があった。被告の女性側が「猫は間に入った女性から各自が引き取ったもので、『室内飼いする』『猫の様子を知らせる』『愛情をもって育てる』などの5条件の契約は、原告に対し直接の義務を負わない」などと主張したという。
 そこで菊地弁護士らは、間に立った女性は仲介役に過ぎず、猫を引き取ったとされる女性らとの間にも堀岡さんとの契約が維持されていること、生き物を引き取る以上、大切に育てるという信義則上の義務を負うことなどを主張したと説明した。
 また被告側は「猫はすべて逃げていなくなった」などとしている。だが堀岡さんらは、女性たちの自宅周辺の聞き込みの結果、警察や保健所に届けたり、周辺を捜したりした形跡がないこと、そもそも一部を除いて自宅に猫がいた形跡がないことなどを指摘した。
 さらに、本来は豊川市の女性(訴外)に引き取られたはずの猫「イシマツ」が昨年12月、同市中心部から20㌔近く離れた蒲郡市形原町の双太山公園で発見されたことを準備書面で示した。米科学誌に掲載された論文や獣医師が書いた本からも、猫は住んでいるエリアからの移動を好まず、100㍍四方の狭いエリアを移動していることが科学的に立証されており、被告らが共謀して猫を遺棄したことが推測されるとしている。
 菊地弁護士は「猫を保護してきた堀岡さんや古橋さんの長年の経験と文献の調査から、被告らの主張が不合理だと立証できる」と述べた。支援を続ける古橋さんは「県内の有力な15の地域猫活動団体から『猫がすべて逃げ出すことはありえない』という証言を得た。証拠として提出する」と話している。
 原告の堀岡さんは「イシマツが見つかったことがまだ信じられない思いだ。被告を責めているのではない。残り8匹の猫が戻ってくればそれでいい。寒さが厳しい時期だがまだ間に合う。被告は自分の身を守ることを考えるのではなく、猫がいなくなった状況を明らかにし、一緒に捜してほしい」と訴えた。
 一方、菊地弁護士は発見された猫がイシマツであるかどうかについて、被告側は争わないという見通しを示した。イシマツの返還請求は取り下げることになる。被告側が合意すれば、1年2カ月ぶりに見つかった猫がイシマツであることに争いはなくなり、なぜ20㌔も離れた場所にいたのかの解明と、残りの猫の発見が待たれる。
【山田一晶】

会見する菊地弁護士、堀岡さん、古橋さん(右から)=豊橋市役所で
会見する菊地弁護士、堀岡さん、古橋さん(右から)=豊橋市役所で
イシマツ(提供)
イシマツ(提供)
行方不明の8匹
行方不明の8匹

カテゴリー:社会・経済

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