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田原凧保存会「初凧再生プロジェクト」

再び飾られた諒哉さんの初凧=「菓子蔵せき」で
再び飾られた諒哉さんの初凧=「菓子蔵せき」で
裏打ち作業。小嶋代表㊥の作業を見て学ぶ=田原まつり会館で
裏打ち作業。小嶋代表㊥の作業を見て学ぶ=田原まつり会館で
お色直し。丁寧に黙々と塗り直す
お色直し。丁寧に黙々と塗り直す

 田原市田原町の「田原まつり会館」などで活動する「田原凧(たこ)保存会」(藤城正孝会長)が後継者育成などを兼ねた「初凧再生プロジェクト」をスタートした。第1弾として、同町であさりせんべいなどを販売している「菓子蔵せき」(関由典代表)に飾られている2枚の初凧などを再生した。

 「初凧」は端午の節句に勇壮な武者絵などが描かれた凧を揚げて子どもの健やかな成長を願うもので、江戸時代から続く伝統行事という。
 今回再生された「菓子蔵せき」の初凧は、関代表の子息である諒哉さんと里佳人さんの誕生を祝ってそれぞれ1990年と92年に製作された。約30年が経過し、凧はところどころ破れ、色あせていた。関代表が保存会に相談し、折よく計画されていた再生プロジェクトの第1弾として保存会の有志を中心に、再生が始まった。
 凧の破れている部分の修繕や色直し前の下準備となる裏打ち作業が4日にあった。ふすまや障子張りを手がける「一二三堂」表具師の小嶋文雄代表が講師を務め、糊を厚めの和紙の片面全体に塗布して、余計な空気が隙間に入らないように素早く丁寧に貼り合わせていく。参加した保存会の面々は、より丁寧な作業ができるようにやり方を突き合わせながら和紙を置いた。
 あせた色を塗り直すお色直しは9日から11日にかけて行われた。元絵を尊重しながら、すっかり抜け落ちた赤や黄色を保存会所属の絵師が教えながら塗り直していく。人物の顔など重要な部分は絵師が担当。熟練の技で鮮やかに仕上げた。
 12日に2枚の初凧は「菓子蔵せき」店内に再び飾られた。色鮮やかに再生された初凧に、関代表は「思った以上に発色がよく、リアリティーのある鮮やかさになった。30年分の進化が感じられる。あさりせんべいの販売と合わせて田原の名物という認識をより強く持ってもらえる」とうれしそうに語った。
 保存会の藤城会長は「凧師、絵師の高齢化が進み、保存会では後継者の育成が課題となっていた。コロナ禍で凧まつりが中止になった今こそ育成のタイミング。再生プロジェクトは後継者にとって重要な経験になる」と語る。
 保存会では初凧を再生したい人の申し込みを受け付けている。価格は裏打ちとお色直しを合わせ、凧のサイズによって5000~9000円。申し込み、詳細問い合わせは田原凧保存会(0531・22・7337)へ。
【岸侑輝】

 田原市田原町の「田原まつり会館」などで活動する「田原凧(たこ)保存会」(藤城正孝会長)が後継者育成などを兼ねた「初凧再生プロジェクト」をスタートした。第1弾として、同町であさりせんべいなどを販売している「菓子蔵せき」(関由典代表)に飾られている2枚の初凧などを再生した。

 「初凧」は端午の節句に勇壮な武者絵などが描かれた凧を揚げて子どもの健やかな成長を願うもので、江戸時代から続く伝統行事という。
 今回再生された「菓子蔵せき」の初凧は、関代表の子息である諒哉さんと里佳人さんの誕生を祝ってそれぞれ1990年と92年に製作された。約30年が経過し、凧はところどころ破れ、色あせていた。関代表が保存会に相談し、折よく計画されていた再生プロジェクトの第1弾として保存会の有志を中心に、再生が始まった。
 凧の破れている部分の修繕や色直し前の下準備となる裏打ち作業が4日にあった。ふすまや障子張りを手がける「一二三堂」表具師の小嶋文雄代表が講師を務め、糊を厚めの和紙の片面全体に塗布して、余計な空気が隙間に入らないように素早く丁寧に貼り合わせていく。参加した保存会の面々は、より丁寧な作業ができるようにやり方を突き合わせながら和紙を置いた。
 あせた色を塗り直すお色直しは9日から11日にかけて行われた。元絵を尊重しながら、すっかり抜け落ちた赤や黄色を保存会所属の絵師が教えながら塗り直していく。人物の顔など重要な部分は絵師が担当。熟練の技で鮮やかに仕上げた。
 12日に2枚の初凧は「菓子蔵せき」店内に再び飾られた。色鮮やかに再生された初凧に、関代表は「思った以上に発色がよく、リアリティーのある鮮やかさになった。30年分の進化が感じられる。あさりせんべいの販売と合わせて田原の名物という認識をより強く持ってもらえる」とうれしそうに語った。
 保存会の藤城会長は「凧師、絵師の高齢化が進み、保存会では後継者の育成が課題となっていた。コロナ禍で凧まつりが中止になった今こそ育成のタイミング。再生プロジェクトは後継者にとって重要な経験になる」と語る。
 保存会では初凧を再生したい人の申し込みを受け付けている。価格は裏打ちとお色直しを合わせ、凧のサイズによって5000~9000円。申し込み、詳細問い合わせは田原凧保存会(0531・22・7337)へ。
【岸侑輝】

再び飾られた諒哉さんの初凧=「菓子蔵せき」で
再び飾られた諒哉さんの初凧=「菓子蔵せき」で
裏打ち作業。小嶋代表㊥の作業を見て学ぶ=田原まつり会館で
裏打ち作業。小嶋代表㊥の作業を見て学ぶ=田原まつり会館で
お色直し。丁寧に黙々と塗り直す
お色直し。丁寧に黙々と塗り直す

カテゴリー:社会・経済

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