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豊橋のぶどう農家 ワイナリー開設の準備進める

農園のブドウを使った赤ワイン=豊橋市石巻西川町のチロルの農園で
農園のブドウを使った赤ワイン=豊橋市石巻西川町のチロルの農園で
昨秋の仕込用ブドウの収穫風景(提供)
昨秋の仕込用ブドウの収穫風景(提供)

国が親元就農者の支援拡充

 深刻な農業の担い手不足解消に向けて、農林水産省が近く後継者となる親元就農者=ことば=の支援を拡充した。今年度創設した「経営継承・発展支援事業」で、経営規模拡大などの後押しへ補助をする。豊橋市内のぶどう農家が制度を利用し、将来的なワイン醸造所を開設する準備を進めている。
 支援事業は新商品開発や販路開拓のほか、新たな品種の導入や新事業構築などを補助。承継を機に経営規模の拡大や発展を目指す農家の後継者を支援する。
 先代経営者(法人なら代表者)から経営権を譲り受けた後継者の発展に向けた取り組みに、国と市町村が100万円までを補助する。認定農業者などの要件があり、経営計画の立案などが必要だ。
 石巻西川町で「チロルの農園」を営む岩瀬宏二さん(45)は1月に父の農園を譲り受け、ブドウやナシ、柿を生産している。
 将来的な多角化のためワイン醸造部門の事業化に乗り出した。山梨大学で醸造を研究した近田有哉法さん(30)と準備を進める。
 農園で栽培する「マスカット・ベイリーA」を小牧市のメーカーへ委託して赤ワインを醸造する。酸味や渋みが少ない軽い飲み口が特徴だ。
 「岩瀬さんちの赤ワイン」として2019年から市内酒販店で販売。昨年は地元プロバスケットボールチーム「三遠ネオフェニックス」と連携した企画商品も出した。
 岩瀬さんは「ワインづくりは各地の気象条件や風土など個性が出る。地域の特色を生かしやすい」と話す。
 これまでの醸造量は年約500㍑。今後は2000㍑の醸造に必要な3000㌧の収穫を目指す。新たに国内を代表する白品種の「甲州」も栽培することにした。
 酒税法で、醸造者には年間の最低醸造量が定められている。岩瀬さんらは年2000㍑で醸造資格が得られる国の構造改革特区「ワイン特区」の活用を視野に、地域の同業者らとの連携を図っていくという。
 岩瀬さんは「自社農園のブドウで醸造するワイナリーは国内では珍しい。6次産業化や持続可能な農業にもつなげたい」と意気込む。
【加藤広宣】

ことば
親元就農者
 家族経営の農家や農業法人で専従する後継者を指す。農林水産省の2020年農業センサスでは農業経営体は2万6289で、5年前と比べて約9000減った。深刻な担い手不足対策として、新規就農の促進に加え、国は親元就農者にも支援に乗り出した。行政や農業団体などが補助制度の周知を進めている。

国が親元就農者の支援拡充

 深刻な農業の担い手不足解消に向けて、農林水産省が近く後継者となる親元就農者=ことば=の支援を拡充した。今年度創設した「経営継承・発展支援事業」で、経営規模拡大などの後押しへ補助をする。豊橋市内のぶどう農家が制度を利用し、将来的なワイン醸造所を開設する準備を進めている。
 支援事業は新商品開発や販路開拓のほか、新たな品種の導入や新事業構築などを補助。承継を機に経営規模の拡大や発展を目指す農家の後継者を支援する。
 先代経営者(法人なら代表者)から経営権を譲り受けた後継者の発展に向けた取り組みに、国と市町村が100万円までを補助する。認定農業者などの要件があり、経営計画の立案などが必要だ。
 石巻西川町で「チロルの農園」を営む岩瀬宏二さん(45)は1月に父の農園を譲り受け、ブドウやナシ、柿を生産している。
 将来的な多角化のためワイン醸造部門の事業化に乗り出した。山梨大学で醸造を研究した近田有哉法さん(30)と準備を進める。
 農園で栽培する「マスカット・ベイリーA」を小牧市のメーカーへ委託して赤ワインを醸造する。酸味や渋みが少ない軽い飲み口が特徴だ。
 「岩瀬さんちの赤ワイン」として2019年から市内酒販店で販売。昨年は地元プロバスケットボールチーム「三遠ネオフェニックス」と連携した企画商品も出した。
 岩瀬さんは「ワインづくりは各地の気象条件や風土など個性が出る。地域の特色を生かしやすい」と話す。
 これまでの醸造量は年約500㍑。今後は2000㍑の醸造に必要な3000㌧の収穫を目指す。新たに国内を代表する白品種の「甲州」も栽培することにした。
 酒税法で、醸造者には年間の最低醸造量が定められている。岩瀬さんらは年2000㍑で醸造資格が得られる国の構造改革特区「ワイン特区」の活用を視野に、地域の同業者らとの連携を図っていくという。
 岩瀬さんは「自社農園のブドウで醸造するワイナリーは国内では珍しい。6次産業化や持続可能な農業にもつなげたい」と意気込む。
【加藤広宣】

ことば
親元就農者
 家族経営の農家や農業法人で専従する後継者を指す。農林水産省の2020年農業センサスでは農業経営体は2万6289で、5年前と比べて約9000減った。深刻な担い手不足対策として、新規就農の促進に加え、国は親元就農者にも支援に乗り出した。行政や農業団体などが補助制度の周知を進めている。

農園のブドウを使った赤ワイン=豊橋市石巻西川町のチロルの農園で
農園のブドウを使った赤ワイン=豊橋市石巻西川町のチロルの農園で
昨秋の仕込用ブドウの収穫風景(提供)
昨秋の仕込用ブドウの収穫風景(提供)

カテゴリー:社会・経済

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