文字の大きさ

コロナ禍とライブハウス

この1年半を振り返る尾藤さん=豊橋市駅前大通1の「クラブノット」で
この1年半を振り返る尾藤さん=豊橋市駅前大通1の「クラブノット」で
ライブのリハーサルに立ち会う尾藤さん
ライブのリハーサルに立ち会う尾藤さん

クラブノット経営の尾藤さん語る

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、県内に出ている緊急事態宣言は延長が決まった。度重なる宣言で多くの事業者が疲弊する一方、前向きに歩み始める経営者がいる。豊橋市駅前大通1でライブハウス「club KNOT(クラブノット)」を営む尾藤元昭さん(42)もそんな一人。「コロナ禍にずいぶん鍛えられた」と肝が据わった印象もある。
 「昨春の緊急事態宣言では頭の中が真っ白になった。落ち込んでメソメソしていた」と尾藤さんは振り返る。
 世間の自粛ムードは想像以上だった。「密閉され換気が悪い」といった印象が強く、ライブハウスは感染対策でも最初に「狙い撃ち」された業態の一つだ。イベント日程が空白になり、自身も一時は農業で生計を立てる日が続いた。
 消えたイベントの穴を埋めようと、ステージをアーティストやアマチュア向け練習に貸し出すサービスを始めたが、人が集まること自体が厳しい状況に陥った。
 変化の兆しは昨年6月中旬。イベント会場の規制を示す国のガイドラインが整い、安心して来場できるようになった。店の収容人数を220人から3分の1にした。観客は声を出さず、ドリンクを飲む時のマナーも徹底して対策を講じた。並行して、インターネットで無観客の有料ライブ配信も始めた。今も店内とネット配信の「ハイブリッド」運営は続く。
 一方で、長期化で収益性は悪化した。チケットは会場開催より安い設定で、ドリンク収入もない。配信画面の切り替えなど、通常ライブにはない人員が必要になった。コロナ以前と比べ「順調な月でも6割」と苦境は続く。
 今はなじみのアーティストやそのファンをつなぎとめることが先決という。ポストコロナを見通して前向きな発想に変わった。
 二転三転で状況がめまぐるしく変わり、試行錯誤の連続だったこの1年半。自ら出演者をブッキングするライブも宣言が出るたび吹き飛んだ。
 尾藤さんは「昨春と比べて精神的にはずいぶん強くなった」という。以前は平常時と比べて現状を嘆くことも多かった。今はできることを前向きに考え「地に足が付き『やまない雨はない』と信じられるようになった」と芯が強くなった様子。覚悟を決めて歩みを始めたようだ。
【加藤広宣】

クラブノット経営の尾藤さん語る

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、県内に出ている緊急事態宣言は延長が決まった。度重なる宣言で多くの事業者が疲弊する一方、前向きに歩み始める経営者がいる。豊橋市駅前大通1でライブハウス「club KNOT(クラブノット)」を営む尾藤元昭さん(42)もそんな一人。「コロナ禍にずいぶん鍛えられた」と肝が据わった印象もある。
 「昨春の緊急事態宣言では頭の中が真っ白になった。落ち込んでメソメソしていた」と尾藤さんは振り返る。
 世間の自粛ムードは想像以上だった。「密閉され換気が悪い」といった印象が強く、ライブハウスは感染対策でも最初に「狙い撃ち」された業態の一つだ。イベント日程が空白になり、自身も一時は農業で生計を立てる日が続いた。
 消えたイベントの穴を埋めようと、ステージをアーティストやアマチュア向け練習に貸し出すサービスを始めたが、人が集まること自体が厳しい状況に陥った。
 変化の兆しは昨年6月中旬。イベント会場の規制を示す国のガイドラインが整い、安心して来場できるようになった。店の収容人数を220人から3分の1にした。観客は声を出さず、ドリンクを飲む時のマナーも徹底して対策を講じた。並行して、インターネットで無観客の有料ライブ配信も始めた。今も店内とネット配信の「ハイブリッド」運営は続く。
 一方で、長期化で収益性は悪化した。チケットは会場開催より安い設定で、ドリンク収入もない。配信画面の切り替えなど、通常ライブにはない人員が必要になった。コロナ以前と比べ「順調な月でも6割」と苦境は続く。
 今はなじみのアーティストやそのファンをつなぎとめることが先決という。ポストコロナを見通して前向きな発想に変わった。
 二転三転で状況がめまぐるしく変わり、試行錯誤の連続だったこの1年半。自ら出演者をブッキングするライブも宣言が出るたび吹き飛んだ。
 尾藤さんは「昨春と比べて精神的にはずいぶん強くなった」という。以前は平常時と比べて現状を嘆くことも多かった。今はできることを前向きに考え「地に足が付き『やまない雨はない』と信じられるようになった」と芯が強くなった様子。覚悟を決めて歩みを始めたようだ。
【加藤広宣】

この1年半を振り返る尾藤さん=豊橋市駅前大通1の「クラブノット」で
この1年半を振り返る尾藤さん=豊橋市駅前大通1の「クラブノット」で
ライブのリハーサルに立ち会う尾藤さん
ライブのリハーサルに立ち会う尾藤さん

カテゴリー:社会・経済

 PR

PR