まもなく冬休み 生乳消費へ広がる支援の輪

　生産過剰と需要減少に伴い、生乳生産者やメーカーが、余剰となった牛乳が廃棄処分されることに危機感を募らせている。牛乳や乳製品製造の中央製乳（豊橋市植田町）によると、コロナ禍で業務用需要が減っているため加工製品の在庫は限界に近い。冬の不需要期も控え「これ以上は飲用消費で賄うしかない」という。一方、同社の働き掛けで食品会社やスーパーなど消費促進へ支援の輪も広がりつつある。
　中央製乳によると１日の牛乳製造量は約１２０㌧（１㍑箱12万本分）に上る。小中学校の給食には東三河をはじめ県内全域に瓶や紙パックで１日35万本を供給する。
　まもなく学校は冬休みを迎えるため、年末年始は学校給食の需要がなくなる。例年、余剰分を保存が効くバターや全粉乳の加工に回している。
　ところが、今夏の涼しさで乳牛の搾乳量が増えたことに加え、長引くコロナ禍で業務用需要は低迷が続く。余剰分を加工製品用に使えば過剰在庫に陥るため、廃棄を避けるには飲用など消費促進が不可欠という。
　牛乳や乳製品の生産者やメーカー団体でつくるＪミルクの試算では、今月下旬には全国で処理しきれない生乳は約５０００㌧に上るとする。助成金を出して、搾乳中止や飼料の見直しなどで出荷量を減らす緊急対策も講じるという。
　中央製乳の草柳朋販売部長は「同じコロナ禍でも昨年は巣ごもり需要で乗り切れたが、今冬は業務需要の低迷と生産増が響いている。生産量を減らすのは酷なので、牛乳の消費促進で危機を脱したい」と呼び掛ける。
　同社は取引関係のある県内全域の食品スーパーや卸売業者、食品会社に働き掛け、牛乳の消費促進へ協力を求めた。スーパーには店舗ごとにポップを配って消費を促している。
　種麹メーカー「糀屋三左衛門」（牟呂町）は自社商品「糀屋三左衛門のあま酒」シリーズに10％オフのクーポンを付与する。牛乳を混ぜたラテを画像にして「あま酒ラテ」「１日１Ｌ」にハッシュタグをつけてＳＮＳに投稿することが条件。
　豊橋市役所でも28日まで、職員有志で同社製牛乳の集団購入で消費を促すキャンペーンを庁内で実施している。
【加藤広宣】