アグリテック系の企業 豊橋市内に実証実験拠点を求める
情報通信など先端技術や知見を生かし、農業の課題解決をビジネスモデルとする「アグリテック」系のスタートアップ企業が、農業集積地の豊橋市内に実証実験の拠点を求めている。県内外の2社がすでに動き出している。生産者と現場に近いことに加え、市の協力体制も選ぶ際の決め手になったという。
名古屋大学で5年前に起業した「グランドグリーン」(名古屋市千種区)は昨年12月、下五井町の遊休施設を借りて拠点を構えた。自社独自の接ぎ木技術やゲノム編集(遺伝子組み換えではない)の技術を生かした新種苗開発を手掛ける。
学内の試験農場や温室が手狭になり、県や市を通じて新たな園芸施設を探し当てた。
市も地元農業者と連携して実証フィールドの提供には前向きだ。さらに今年度設けた「サテライトオフィス誘致補助」で都市部の企業に拠点進出を促す。事務所開設準備や管理運営費の一部を助成する。同社も拠点づくりに制度を生かした。
施設では岐阜県内で栽培実証に取り組んでいるエゴマをはじめ、葉物野菜など多品目を栽培する方針。今月中にも植え付け作業を始める。
新種苗開発は将来の気候変動を踏まえ、環境変化にも適用可能な改良への需要を見込む。農薬を減らせる品種や燃料費削減につながる寒さに強い品種など幅広いニーズを想定している。
また、独自に科の異なる植物をつなぎ合わせる技術も持つ。土台となる植物の改良もこの施設で実施する。執行役員の諏佐啓太さんは「ベースの能力が高く栽培需要が広まりそうな品種を試したい。生産者に近いところで実証できるので、声を拾って開発に反映させやすい」と話す。
すでに市内で実証実験に取り組んでいる企業もある。2年前に市内で事務所を構えた「Sagri」(サグリ)=兵庫県丹波市=は、人工衛星データを解析して営農支援につなげるアプリ開発に取り組んでいる。
進出当初は衛星写真を使って耕作放棄地を見つけ出すシステムを開発した。市や地元との連携もここから始まった。
現在は農業生産法人「ドリームフィールド」(若松町)と連携し、アプリ開発のためのデータ採取に取り組んでいる。気象データに衛星で取得した土壌や地温などの情報を反映させ、農地ごとに最適な栽培品種や生産管理の情報を提供する。スマート農業普及の鍵を握る汎用性を高め、機材を導入する資金力に関わらず取り組めるのが目標だ。
坪井俊輔社長は「経済産業省事業で農地が多い八つのエリアを選んだのがきっかけで、市とも実証実験などでつながりができた」と説明する。
【加藤広宣】
情報通信など先端技術や知見を生かし、農業の課題解決をビジネスモデルとする「アグリテック」系のスタートアップ企業が、農業集積地の豊橋市内に実証実験の拠点を求めている。県内外の2社がすでに動き出している。生産者と現場に近いことに加え、市の協力体制も選ぶ際の決め手になったという。
名古屋大学で5年前に起業した「グランドグリーン」(名古屋市千種区)は昨年12月、下五井町の遊休施設を借りて拠点を構えた。自社独自の接ぎ木技術やゲノム編集(遺伝子組み換えではない)の技術を生かした新種苗開発を手掛ける。
学内の試験農場や温室が手狭になり、県や市を通じて新たな園芸施設を探し当てた。
市も地元農業者と連携して実証フィールドの提供には前向きだ。さらに今年度設けた「サテライトオフィス誘致補助」で都市部の企業に拠点進出を促す。事務所開設準備や管理運営費の一部を助成する。同社も拠点づくりに制度を生かした。
施設では岐阜県内で栽培実証に取り組んでいるエゴマをはじめ、葉物野菜など多品目を栽培する方針。今月中にも植え付け作業を始める。
新種苗開発は将来の気候変動を踏まえ、環境変化にも適用可能な改良への需要を見込む。農薬を減らせる品種や燃料費削減につながる寒さに強い品種など幅広いニーズを想定している。
また、独自に科の異なる植物をつなぎ合わせる技術も持つ。土台となる植物の改良もこの施設で実施する。執行役員の諏佐啓太さんは「ベースの能力が高く栽培需要が広まりそうな品種を試したい。生産者に近いところで実証できるので、声を拾って開発に反映させやすい」と話す。
すでに市内で実証実験に取り組んでいる企業もある。2年前に市内で事務所を構えた「Sagri」(サグリ)=兵庫県丹波市=は、人工衛星データを解析して営農支援につなげるアプリ開発に取り組んでいる。
進出当初は衛星写真を使って耕作放棄地を見つけ出すシステムを開発した。市や地元との連携もここから始まった。
現在は農業生産法人「ドリームフィールド」(若松町)と連携し、アプリ開発のためのデータ採取に取り組んでいる。気象データに衛星で取得した土壌や地温などの情報を反映させ、農地ごとに最適な栽培品種や生産管理の情報を提供する。スマート農業普及の鍵を握る汎用性を高め、機材を導入する資金力に関わらず取り組めるのが目標だ。
坪井俊輔社長は「経済産業省事業で農地が多い八つのエリアを選んだのがきっかけで、市とも実証実験などでつながりができた」と説明する。
【加藤広宣】