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前向きな女子硬式野球の菰田、青木両選手

カテゴリー:特集

菰田選手
菰田選手
青木選手
青木選手

コロナ対応や「ふるさと」への思い語る

一宮市を本拠地とする女子硬式野球クラブチーム「東海NEXUS」が発足したのは一昨年。チームで活躍する豊橋市出身の菰田晴香選手(23)と田原市出身の青木悠華選手(22)にコロナ禍での野球との向き合い方や地元豊橋と田原への想いを聞いた。まん延防止等重点措置の延長を受けて今回はズームでのインタビューを行った。聞き手は関健一郎・客員編集委員。
 -皆さんはプロ野球選手なんですか?
 菰田:そうではありません。基本的に平日は会社員として仕事をして、土日祝日などに練習しています。私は県内を中心とした米の卸売会社「名古屋食糧」という企業で働いているのですが、野球にとても理解を示してくださり、企業や一緒に働く皆さまには本当に感謝しています。
 -プロ野球にはペナントレースがあるが、同じような仕組みですか?
 青木:少し違います。東海北陸地方のチームが戦う「センターリーグ」があり、東海NEXUSはそこに属する10チームの一つで、このリーグで優勝を目指します。関東には「ヴィーナスリーグ」、関西には「ラッキーリーグ」があり、それぞれのリーグで日本一を目指しているイメージです。
 -菰田さんはいつから野球を?
 菰田:小学校2年生です。仲良しの男の子にキャッチボールを付き合わされてたら、運動神経はいい方だったので、楽しくなって、気が付いたら自分から野球をやるようになってました。
 -青木さんは?
 青木:私も小学校2年生です。テニスをやりたかったのですが、送り迎えができないということで、一緒に送り迎えができるという理由で兄がやっていた野球を始めたのですが、いつの間にかとりこになってましたね。 -新型コロナウイルス感染拡大の影響は小さくなかったと思いますが、どのような影響がありどう向き合いましたか?
 菰田:私は心が折れるよりも、試合も練習もできず、絶対続けたいという気持ちになりましたね。野球で優勝したことがないので、とにかく優勝のためにできることすべてをやることにしています。仕事でも重い荷物を進んで持って筋肉を鍛えることにしていますし、家でできる素振りなどは言うまでもなく、食事量を増やして体を作ることに専念しています。
 青木:野球の技術は当たり前ですが、それ以外の自分の能力、具体的にはコミュニケーション能力を磨くことを心掛けました。このコロナで野球がまたできる! っていう希望が途切れちゃったんです。でもその時、私は、JR貨物の社員としても新しいスタートを切っていたんです。そこで、自分の意見をしっかり伝えることを意識したんです。私は先輩に話しかけるのが苦手で、質問したくても「こんなこと聞いてもいいのかな」とか思うタイプでした。社会人として、お客さまと話をしたり、仲間と仕事をしたりする中で、いかに自分の考えが相手に伝わっていないかを痛感したんです。そしてチームに戻った時に、よりチームが好きになれたんです。野球が楽しみなだけでなく、どうしたらチームがよくなるか、自分の考えをもって、周囲に伝えることができるようになったんです。
 -コロナのせいで何かができなかった、ととらえるのか、コロナでこう気持ちを切り替えてこのようなプラスの効果を自分にもたらせた。そういうことが大切だと自分自身にも子どもたちにもいつも話しています。やはりスポーツ選手で成功している人はみんなこのような思考回路を持っていますね。最後に子どもたちや「ふるさと」の人たちに一言お願いします。
 菰田:スポーツを頑張ってる子どもたちは、試合がなくなるなどしてモチベーションが上がらないと思います。基礎の練習は地味だしつらい。でもそこをどう頑張るかで、チームの練習がまたできるようになった後、チームの力がまったく変わってくるので、悪い方向に考えないでできることをやってほしいです。
 青木:今の私は、野球があるから仕事が頑張れる。仕事があるから野球を頑張れる。いい結果を出せば会社で聞いてくれる。どっちに行くのも楽しくて仕方がないです。コロナ禍で不透明ですが、例年通りであれば、ゴールデンウイークには豊橋で皆さまに元気なプレーを見せられると思いますので、応援よろしくお願いします。
 -2人の、そしてチームの活躍を心より願っています。

編集後記

 2人の言葉の行間からは、爽やかなプラス思考がにじみ出ていて「清々しい」取材だった。女子硬式野球はメジャースポーツではないし、女子プロ野球リーグが消滅してしまうなど決して右肩上がりの業界ではない。ましてや新型コロナウイルス感染拡大を受けて政府の宣言が相次いでいることで、致命的な影響を受けている。
 しかし、2人にとってそんなことは関係ないようだ。菰田選手は、野球人生で経験したことのない優勝を勝ち取るためにあらゆる努力をし続けている。青木選手は、仕事に行くのも野球をするのも楽しくて楽しくて仕方がないという。
 ネガティブな環境の中でも、ベストを尽くすことができているか。できているからこそ2人の言葉から清々しさを感じるのだろう。豊橋と田原が産んだ2人の選手を心から応援したいと感じた。 菰田さんは教員免許を取得していて、将来は豊橋で教員として女子野球だけでなくスポーツを通じて教育に携わっていきたいと考えているという。青木さんも地元に戻って、女の子が野球をできる環境を作りたいという。前向きに、他人を心から思いやることができる人間の言葉に共通するものを感じた青木さんの言葉を引用する。「年下の女の子で野球をやっている子たちへ。皆さんの目標の場となれるように東海NEXUSで優勝できるよう頑張ります。思うような環境で野球ができないと思いますが、いっしょに頑張っていきましょう」
 現状に文句を言うか、その状況をより良いものに改善していくためにあと一歩前に進むか。必死に頑張ろう。

コロナ対応や「ふるさと」への思い語る

一宮市を本拠地とする女子硬式野球クラブチーム「東海NEXUS」が発足したのは一昨年。チームで活躍する豊橋市出身の菰田晴香選手(23)と田原市出身の青木悠華選手(22)にコロナ禍での野球との向き合い方や地元豊橋と田原への想いを聞いた。まん延防止等重点措置の延長を受けて今回はズームでのインタビューを行った。聞き手は関健一郎・客員編集委員。
 -皆さんはプロ野球選手なんですか?
 菰田:そうではありません。基本的に平日は会社員として仕事をして、土日祝日などに練習しています。私は県内を中心とした米の卸売会社「名古屋食糧」という企業で働いているのですが、野球にとても理解を示してくださり、企業や一緒に働く皆さまには本当に感謝しています。
 -プロ野球にはペナントレースがあるが、同じような仕組みですか?
 青木:少し違います。東海北陸地方のチームが戦う「センターリーグ」があり、東海NEXUSはそこに属する10チームの一つで、このリーグで優勝を目指します。関東には「ヴィーナスリーグ」、関西には「ラッキーリーグ」があり、それぞれのリーグで日本一を目指しているイメージです。
 -菰田さんはいつから野球を?
 菰田:小学校2年生です。仲良しの男の子にキャッチボールを付き合わされてたら、運動神経はいい方だったので、楽しくなって、気が付いたら自分から野球をやるようになってました。
 -青木さんは?
 青木:私も小学校2年生です。テニスをやりたかったのですが、送り迎えができないということで、一緒に送り迎えができるという理由で兄がやっていた野球を始めたのですが、いつの間にかとりこになってましたね。 -新型コロナウイルス感染拡大の影響は小さくなかったと思いますが、どのような影響がありどう向き合いましたか?
 菰田:私は心が折れるよりも、試合も練習もできず、絶対続けたいという気持ちになりましたね。野球で優勝したことがないので、とにかく優勝のためにできることすべてをやることにしています。仕事でも重い荷物を進んで持って筋肉を鍛えることにしていますし、家でできる素振りなどは言うまでもなく、食事量を増やして体を作ることに専念しています。
 青木:野球の技術は当たり前ですが、それ以外の自分の能力、具体的にはコミュニケーション能力を磨くことを心掛けました。このコロナで野球がまたできる! っていう希望が途切れちゃったんです。でもその時、私は、JR貨物の社員としても新しいスタートを切っていたんです。そこで、自分の意見をしっかり伝えることを意識したんです。私は先輩に話しかけるのが苦手で、質問したくても「こんなこと聞いてもいいのかな」とか思うタイプでした。社会人として、お客さまと話をしたり、仲間と仕事をしたりする中で、いかに自分の考えが相手に伝わっていないかを痛感したんです。そしてチームに戻った時に、よりチームが好きになれたんです。野球が楽しみなだけでなく、どうしたらチームがよくなるか、自分の考えをもって、周囲に伝えることができるようになったんです。
 -コロナのせいで何かができなかった、ととらえるのか、コロナでこう気持ちを切り替えてこのようなプラスの効果を自分にもたらせた。そういうことが大切だと自分自身にも子どもたちにもいつも話しています。やはりスポーツ選手で成功している人はみんなこのような思考回路を持っていますね。最後に子どもたちや「ふるさと」の人たちに一言お願いします。
 菰田:スポーツを頑張ってる子どもたちは、試合がなくなるなどしてモチベーションが上がらないと思います。基礎の練習は地味だしつらい。でもそこをどう頑張るかで、チームの練習がまたできるようになった後、チームの力がまったく変わってくるので、悪い方向に考えないでできることをやってほしいです。
 青木:今の私は、野球があるから仕事が頑張れる。仕事があるから野球を頑張れる。いい結果を出せば会社で聞いてくれる。どっちに行くのも楽しくて仕方がないです。コロナ禍で不透明ですが、例年通りであれば、ゴールデンウイークには豊橋で皆さまに元気なプレーを見せられると思いますので、応援よろしくお願いします。
 -2人の、そしてチームの活躍を心より願っています。

編集後記

 2人の言葉の行間からは、爽やかなプラス思考がにじみ出ていて「清々しい」取材だった。女子硬式野球はメジャースポーツではないし、女子プロ野球リーグが消滅してしまうなど決して右肩上がりの業界ではない。ましてや新型コロナウイルス感染拡大を受けて政府の宣言が相次いでいることで、致命的な影響を受けている。
 しかし、2人にとってそんなことは関係ないようだ。菰田選手は、野球人生で経験したことのない優勝を勝ち取るためにあらゆる努力をし続けている。青木選手は、仕事に行くのも野球をするのも楽しくて楽しくて仕方がないという。
 ネガティブな環境の中でも、ベストを尽くすことができているか。できているからこそ2人の言葉から清々しさを感じるのだろう。豊橋と田原が産んだ2人の選手を心から応援したいと感じた。 菰田さんは教員免許を取得していて、将来は豊橋で教員として女子野球だけでなくスポーツを通じて教育に携わっていきたいと考えているという。青木さんも地元に戻って、女の子が野球をできる環境を作りたいという。前向きに、他人を心から思いやることができる人間の言葉に共通するものを感じた青木さんの言葉を引用する。「年下の女の子で野球をやっている子たちへ。皆さんの目標の場となれるように東海NEXUSで優勝できるよう頑張ります。思うような環境で野球ができないと思いますが、いっしょに頑張っていきましょう」
 現状に文句を言うか、その状況をより良いものに改善していくためにあと一歩前に進むか。必死に頑張ろう。

菰田選手
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