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1965年発掘の太刀に銀象嵌の竜

太刀の竜文について説明する広瀬教授㊧ら=豊橋市役所で
太刀の竜文について説明する広瀬教授㊧ら=豊橋市役所で
多数の細長い線で竜を表した象嵌の文様
多数の細長い線で竜を表した象嵌の文様

刀身の文様は国内4例目

 愛知大学総合郷土研究所は15日、豊橋市石巻小野田町にあった「寺西1号墳」から出土した太刀のうち、国内では珍しい「銀象嵌(ぎんぞうがん)」と呼ばれる装飾技法を用いた竜の文様がみつかったと発表した。刀身への施したものは国内4例目と珍しく、大和朝廷が地方の有力豪族に贈ったものとみられる。
 寺西1号墳は愛知大が1965年に発掘した6世紀後半の円墳。すでに失われている。横穴式石室の遺構、太刀12点をはじめ鉾(ほこ)や矢尻など鉄製武器や須恵器など多くの埋葬品が出土した。
 竜文が見つかった太刀は全長94㌢、最大幅4㌢の鉄剣。刀身や鍔(つば)のほか、柄(つか)と刀身を固定する「はばき」に施されている。刀身には約15㌢にわたり細長い線を組み合わせて竜に見立てた文様がある。
 銀象嵌とは、工具で彫った表面に銀線などを埋めて磨く技法。竜のほか花や魚などをモチーフにした文様がある。竜文は中国から朝鮮半島を経て伝わり、権威の象徴として武器や馬具などの装飾に用いられた。
 研究所で出土品を整理したところ、さび落としや破片接合など保存処理した1本から竜文が見つかった。多くが刀装具などに施されるが、刀身へ象嵌したものは珍しい。
 研究所は11年から所蔵品整理を始め、17年には寺西1号墳の出土太刀のつばから2点の銀象嵌が見つかった。本格的な保存処理に乗り出し、今年度までに竜文を特定した。今後、未処理の出土品も検証して全容解明につなげたいという。
 保存処理などに携わった文学部の広瀬憲雄教授は被葬者像について「近隣の馬越長火塚古墳群に埋葬された豪族より格は劣るが、大和政権とつながりが深い有力者には違いない」とみる。

19日のシンポで初公開

 竜文を見つけた太刀は19日午後1時から、市公会堂で開く「寺西1号墳シンポジウム」の会場で初公開する。太刀のほか保存処理や公開作業の報告書も配る。無料、先着300人まで。問い合わせは市美術博物館文化財センター(0532・56・6060)へ。
【加藤広宣】

刀身の文様は国内4例目

 愛知大学総合郷土研究所は15日、豊橋市石巻小野田町にあった「寺西1号墳」から出土した太刀のうち、国内では珍しい「銀象嵌(ぎんぞうがん)」と呼ばれる装飾技法を用いた竜の文様がみつかったと発表した。刀身への施したものは国内4例目と珍しく、大和朝廷が地方の有力豪族に贈ったものとみられる。
 寺西1号墳は愛知大が1965年に発掘した6世紀後半の円墳。すでに失われている。横穴式石室の遺構、太刀12点をはじめ鉾(ほこ)や矢尻など鉄製武器や須恵器など多くの埋葬品が出土した。
 竜文が見つかった太刀は全長94㌢、最大幅4㌢の鉄剣。刀身や鍔(つば)のほか、柄(つか)と刀身を固定する「はばき」に施されている。刀身には約15㌢にわたり細長い線を組み合わせて竜に見立てた文様がある。
 銀象嵌とは、工具で彫った表面に銀線などを埋めて磨く技法。竜のほか花や魚などをモチーフにした文様がある。竜文は中国から朝鮮半島を経て伝わり、権威の象徴として武器や馬具などの装飾に用いられた。
 研究所で出土品を整理したところ、さび落としや破片接合など保存処理した1本から竜文が見つかった。多くが刀装具などに施されるが、刀身へ象嵌したものは珍しい。
 研究所は11年から所蔵品整理を始め、17年には寺西1号墳の出土太刀のつばから2点の銀象嵌が見つかった。本格的な保存処理に乗り出し、今年度までに竜文を特定した。今後、未処理の出土品も検証して全容解明につなげたいという。
 保存処理などに携わった文学部の広瀬憲雄教授は被葬者像について「近隣の馬越長火塚古墳群に埋葬された豪族より格は劣るが、大和政権とつながりが深い有力者には違いない」とみる。

19日のシンポで初公開

 竜文を見つけた太刀は19日午後1時から、市公会堂で開く「寺西1号墳シンポジウム」の会場で初公開する。太刀のほか保存処理や公開作業の報告書も配る。無料、先着300人まで。問い合わせは市美術博物館文化財センター(0532・56・6060)へ。
【加藤広宣】

太刀の竜文について説明する広瀬教授㊧ら=豊橋市役所で
太刀の竜文について説明する広瀬教授㊧ら=豊橋市役所で
多数の細長い線で竜を表した象嵌の文様
多数の細長い線で竜を表した象嵌の文様

カテゴリー:社会・経済

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