豊橋技科大が学内発ベンチャーに「オプトテック」認定

　豊橋技術科学大学は13日、ＡＩ（人工知能）を生かした高精度な製品外観検査機を開発した「オプトテック」を学内発ベンチャーに認定したと発表した。修士課程２年の藤井琢也さんを代表に昨年１月に法人化した。学内認定は５例目となる。
　検査機は光や明るさの調整で物をより見えやすくすることで、製品不良や異物混入の検査を自動化できるという。従来のＡＩ検査では対象を照らす照明は汎用的で単機能なものしかなかった。外観検査の自動化には対象物の不具合を可視化する入力画像の質が不可欠で、そのための高機能照明が鍵を握るとして着目した。
　複数の照射角や光源の比率などを電子制御できる高性能照明を開発し、撮像環境の改善で精度向上につなげた。これにより製品の傷や混入した異物を的確に判別できるようになった。ＳＤカードの端子部分の検査実験では、同じカメラの設定で撮ったものと比較。従来の照明機器ではとらえきれなかった傷も検出できた。
　また、新型コロナウイルス検査キットの開発でも大幅な作業精度の向上に貢献したという。試薬の変色で陽性と陰性を分ける判別では色の識別が難しい検体も多く、ＡＩの分類では70％以下だったという。高機能照明で光源を変えただけで、判別可能な検体は99％まで改善された。
　藤井さんは「照明条件で入力画像の質が大きく変わるが、撮像環境の構築が難しい。高性能照明はＡＩ技術を生かす『眼鏡』のような存在」と説明した。
【加藤広宣】