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豊橋の森下さんら新種のハチ発見 海外学術誌に論文掲載

昆虫愛好家から研究者になったと話す森下さん=豊橋市自然史博物館で
昆虫愛好家から研究者になったと話す森下さん=豊橋市自然史博物館で
アルピコーラの雄㊤と雌(提供)
アルピコーラの雄㊤と雌(提供)
プンクタートゥスの雄㊤と雌(同)
プンクタートゥスの雄㊤と雌(同)

 豊橋市自然史博物館ボランティアで会社員の森下俊介さん(38)=八町通4=らが発見した新種のヒラタアブヒメバチに関する研究論文が、国際的な学術専門誌に掲載された。国内での新種発見は34年ぶりで、分類学的な成果が認められた。28日から館内で新種の標本や論文コピーなど関連資料を展示する。

 研究は「神奈川県立生命の星・地球博物館」(小田原市)の渡辺恭平学芸員と取り組んだ。日本産の「ウォルドステドゥティウス」に属するヒメバチを9種に整理、新発見の2種を記載するなどの成果を報告した。
 掲載された「Deutsche Entomologische Zeitschrift」誌は昆虫学系では世界的に知られる学術専門誌の一つだ。
 今回、新たに発見したのは「アルピコーラ」「プンクタートゥス」の2種の雄と雌。体長は7・5~10・7㍉。アルピコーラは、後ろ足の付け根部分の節が長いところが見分けるポイントだ。プンクタートゥスは、背中近くの「小盾板(しょうじゅんばん)」にある点刻と呼ばれる模様などが特徴。
 アルピコーラの雌は昨年6月、森下さんが三重県鈴鹿市の藤原岳で採取した。このほかは渡辺さんが以前に採取し、「不明種」として保管していた。
 ヒラタアブヒメバチの仲間は広域に分布し、新種が見つかりにくいグループといわれる。ヒメバチ科の中でも新種発見が困難といわれる。
 森下さんは4年前からヒメバチの名称確認などで渡辺さんから助言を得るなど、研究活動で交流を続けていた。渡辺さんの元を訪れて館内の資料を見せてもらい、2年前に不明種とされたヒメバチと出合った。
 これを機に二人で検証を進めた。渡辺さんがドイツ・ミュンヘンの動物学博物館を通じてタイプ標本を入手し、採取したヒメバチの標本との比較検証を重ねてきた。
 森下さんは「最初に渡辺さんから標本を見せてもらい『あっ、新種だ』とピンときた」と直感した当時を振り返った。
 自然史博物館の長谷川道明学芸専門員は「生物多様性の点から、昆虫などの研究も多様な領域がが必要だ。ヒメバチは解明されていない点が多く、今回の研究成果は意義深い」と説明。また「大学などの機関に属さない在野の研究者にとってもいい知らせだ。アカデミズムと在野をつなぐ拠点としての機能が生かせたのでは」と喜んだ。
 森下さんは「英語の文献に当たり、論文を書くのは骨が折れた。博物館でのボランティアで学術研究にも目覚め、昆虫愛好家から一皮むけた感じだ。今後は生態や分布など未知の研究領域にも挑戦したい」と意気込んだ。
【加藤広宣】

 豊橋市自然史博物館ボランティアで会社員の森下俊介さん(38)=八町通4=らが発見した新種のヒラタアブヒメバチに関する研究論文が、国際的な学術専門誌に掲載された。国内での新種発見は34年ぶりで、分類学的な成果が認められた。28日から館内で新種の標本や論文コピーなど関連資料を展示する。

 研究は「神奈川県立生命の星・地球博物館」(小田原市)の渡辺恭平学芸員と取り組んだ。日本産の「ウォルドステドゥティウス」に属するヒメバチを9種に整理、新発見の2種を記載するなどの成果を報告した。
 掲載された「Deutsche Entomologische Zeitschrift」誌は昆虫学系では世界的に知られる学術専門誌の一つだ。
 今回、新たに発見したのは「アルピコーラ」「プンクタートゥス」の2種の雄と雌。体長は7・5~10・7㍉。アルピコーラは、後ろ足の付け根部分の節が長いところが見分けるポイントだ。プンクタートゥスは、背中近くの「小盾板(しょうじゅんばん)」にある点刻と呼ばれる模様などが特徴。
 アルピコーラの雌は昨年6月、森下さんが三重県鈴鹿市の藤原岳で採取した。このほかは渡辺さんが以前に採取し、「不明種」として保管していた。
 ヒラタアブヒメバチの仲間は広域に分布し、新種が見つかりにくいグループといわれる。ヒメバチ科の中でも新種発見が困難といわれる。
 森下さんは4年前からヒメバチの名称確認などで渡辺さんから助言を得るなど、研究活動で交流を続けていた。渡辺さんの元を訪れて館内の資料を見せてもらい、2年前に不明種とされたヒメバチと出合った。
 これを機に二人で検証を進めた。渡辺さんがドイツ・ミュンヘンの動物学博物館を通じてタイプ標本を入手し、採取したヒメバチの標本との比較検証を重ねてきた。
 森下さんは「最初に渡辺さんから標本を見せてもらい『あっ、新種だ』とピンときた」と直感した当時を振り返った。
 自然史博物館の長谷川道明学芸専門員は「生物多様性の点から、昆虫などの研究も多様な領域がが必要だ。ヒメバチは解明されていない点が多く、今回の研究成果は意義深い」と説明。また「大学などの機関に属さない在野の研究者にとってもいい知らせだ。アカデミズムと在野をつなぐ拠点としての機能が生かせたのでは」と喜んだ。
 森下さんは「英語の文献に当たり、論文を書くのは骨が折れた。博物館でのボランティアで学術研究にも目覚め、昆虫愛好家から一皮むけた感じだ。今後は生態や分布など未知の研究領域にも挑戦したい」と意気込んだ。
【加藤広宣】

昆虫愛好家から研究者になったと話す森下さん=豊橋市自然史博物館で
昆虫愛好家から研究者になったと話す森下さん=豊橋市自然史博物館で
アルピコーラの雄㊤と雌(提供)
アルピコーラの雄㊤と雌(提供)
プンクタートゥスの雄㊤と雌(同)
プンクタートゥスの雄㊤と雌(同)

カテゴリー:社会・経済

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