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芸術で平和を訴え 松井画伯が新作披露

新作を披露する松井さん=ホテルアークリッシュ豊橋で
新作を披露する松井さん=ホテルアークリッシュ豊橋で

 豊橋出身で国内外で活躍中の画家、松井守男さんが駅前大通2の「ホテルアークリッシュ豊橋」に展示している10㍍級の作品を新作に掛け変えた。
 松井さんは現代フランス画壇を代表する作家の一人。3月にフランスから戻り、国内で精力的に活動を展開している。
 15階クラブフロアに飾られた作品のタイトルは「国連平和憲章?! 子どもたちへの讃歌」。美しい青で一面を彩り、そこから色を削ぐことで感情の爆発を表現。さらに上から暗い土色や桜色などを重ねた作品だ。
 15年前から国連をテーマに制作を続けてきた松井さん。美しい国連カラーで平和を描くはずだった。しかし、昨今のロシアによるウクライナ侵攻で思いが変化。描けていた絵を削るなどして崩し、子どもたちの悲しみ、怒りなどの表現を加えた。国連への自身の思いの変化も描きこんだ。
 普段、面相筆でびっしり丁寧に書き入れる「愛」「人」の文字も、今作には無い。点在する「愛」の字に力は無く、作家の無念さも伝わる。
 新しい画材への挑戦として、野菜由来の色鮮やかなパウダーを使っているが今回、桜色には本物の血液を混ぜた。ウクライナから避難した母子が国から持参した幼い家族の遺品だ。現在2人は、コルシカ島のアトリエ敷地内で受け入れている。
 現地で亡くなったがその場で埋められ葬儀もできず、服など遺品も持ち出せず、泣く泣く引きちぎったボタンとともに血の付いたものを形見に持ってきたという。松井さんはそれを聞き、鎮魂の思いを込めて少しの血液を受け取り、苦労して絵の具に混ぜて絵に生かした。ボタンも絵に反映させ、母親は「慰霊になる」と感謝したという。
 作品は「子どもたちの死を無駄にしたくない」との思いで「慰霊」「鎮魂」でなく「讃歌」と命名。「作品が未来への出発点になれば。芸術で平和を訴えるのがアーティストの一つの役割。戦争が終わっても語り続けたい」と松井さんは話す。作品は12月頃まで展示予定という。
【田中博子】

 豊橋出身で国内外で活躍中の画家、松井守男さんが駅前大通2の「ホテルアークリッシュ豊橋」に展示している10㍍級の作品を新作に掛け変えた。
 松井さんは現代フランス画壇を代表する作家の一人。3月にフランスから戻り、国内で精力的に活動を展開している。
 15階クラブフロアに飾られた作品のタイトルは「国連平和憲章?! 子どもたちへの讃歌」。美しい青で一面を彩り、そこから色を削ぐことで感情の爆発を表現。さらに上から暗い土色や桜色などを重ねた作品だ。
 15年前から国連をテーマに制作を続けてきた松井さん。美しい国連カラーで平和を描くはずだった。しかし、昨今のロシアによるウクライナ侵攻で思いが変化。描けていた絵を削るなどして崩し、子どもたちの悲しみ、怒りなどの表現を加えた。国連への自身の思いの変化も描きこんだ。
 普段、面相筆でびっしり丁寧に書き入れる「愛」「人」の文字も、今作には無い。点在する「愛」の字に力は無く、作家の無念さも伝わる。
 新しい画材への挑戦として、野菜由来の色鮮やかなパウダーを使っているが今回、桜色には本物の血液を混ぜた。ウクライナから避難した母子が国から持参した幼い家族の遺品だ。現在2人は、コルシカ島のアトリエ敷地内で受け入れている。
 現地で亡くなったがその場で埋められ葬儀もできず、服など遺品も持ち出せず、泣く泣く引きちぎったボタンとともに血の付いたものを形見に持ってきたという。松井さんはそれを聞き、鎮魂の思いを込めて少しの血液を受け取り、苦労して絵の具に混ぜて絵に生かした。ボタンも絵に反映させ、母親は「慰霊になる」と感謝したという。
 作品は「子どもたちの死を無駄にしたくない」との思いで「慰霊」「鎮魂」でなく「讃歌」と命名。「作品が未来への出発点になれば。芸術で平和を訴えるのがアーティストの一つの役割。戦争が終わっても語り続けたい」と松井さんは話す。作品は12月頃まで展示予定という。
【田中博子】

新作を披露する松井さん=ホテルアークリッシュ豊橋で
新作を披露する松井さん=ホテルアークリッシュ豊橋で

カテゴリー:社会・経済

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