今年からカーネーションは市と議会へ

　豊橋市花き園芸振興協議会の鉢物部会を代表し、中村孝康部会長が２日、浅井由崇市長と田中敏一議長に、ポットカーネーションを贈った。
　昨年は新型コロナウイルス禍で中止になったが２００５年から母の日を前に続けている。
　中村部会長は「今は先行きが見通せない状況。花を見て心を癒やしてほしい」と話した。浅井市長は「花が大好き。とてもうれしい」と喜んだ。
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　担当課は４月26日、今回のイベントを案内するプレスリリースを出した。副市長と副議長が贈呈先とあった。しかし28日になって贈り先を「豊橋市」「豊橋市議会」と修正した。一昨年までの16回にわたり、歴代副市長と副議長が母の日にちなんでカーネーションを受け取っていた。副議長１人を除くと男性だ。
　なぜか。「市長・議長を支える女房役の副市長と副議長を『豊橋市の母』として、花とともに感謝と慰労の言葉が伝えられ」（16年）、「市長・議長を支える女房役として『豊橋市の母』である副市長と副議長にカーネーションの花束が贈られました」（17年）と市のホームページにある。
　誰かを支える役職の人物を「女房役」と表現することがある。例えば官房長官は「総理の女房役」などと新聞は書いた。野球の捕手もそうだ。
　だが、なぜそれが「女房」「母」などの女性でなくてはならないのか。女性市長の下の男性副市長も女房で母なのか、と考えるとやはりおかしい。それは支えられる主役は男性である、というジェンダーに関する「無意識の偏見（アンコンシャス・バイアス）」ではないか。朝日新聞などは捕手を女房役と呼ぶのを止めている。
　花を贈る側に問題があるのではない。17年前はその見立てが面白かったのかもしれない。
　２年前、初めてこのイベントを知り「女房役の副市長・副議長」という原稿を見た。令和の時代になって、副市長、副議長を「女房」「母」などと呼んで疑問に思わない市役所と地元新聞社の体たらくに腹が立った。
　今回、なぜ贈呈先を変更したのかを担当者に聞くと「今は男女どちらからでも花を贈る時代。性を言わずとも、組織として花を受け取ればいい、ということで修正した」と話した。来年以降もこの方針だという。英断を評価したい。
【山田一晶】