外国出身の中学生向け新教材が完成

豊橋市の初期支援コース「みらい」がノウハウ一冊に

　日本語での学習経験が浅い外国出身の中学生に特化した豊橋市の初期支援コース「みらい」は、オリジナルテキスト「みらいの日本語」を作った。検定教科書はなく、外国人の多い自治体の多くが手作りのプリントを主な教材とする中、長年の活動ノウハウを詰め込んだ内容に仕上げた。
　校区の学校に在籍しながら10週間の集中トレーニングを受け、日本語運用力などを養う「みらい」の指導方針は他の都市から注目される。支援体制が整う一方、中学生向けの最適な教材が見当たらないことが課題だった。
　そこで「みらい」の特徴や指導時間で学べる独自の教材づくりに取り組んだ。財源は昨年度の奨励賞に選ばれた博報堂教育財団「博報賞」の副賞で、２００部を印刷。みらい東（豊岡中）と西（羽田中）に学ぶ生徒13人に無償で配った。
　日本語能力を表す文部科学省の６ステージのうち、生活に不可欠な「サバイバル日本語」や文法の基礎などを学ぶ「ステージ２」までの学習内容を盛り込んだ。
　例文には学校生活の場面を盛り込み、日本語学習と同時に学校生活の知識も深められる。各ステージの学習内容に沿った編集は市販教材にはないという。各ステージの習得目安は半年だが、効率よく学べるため10週間での取得を目指せる。
　「みらい」コーディネーターの築樋博子さんは浅井由崇市長にテキスト完成を報告。「最適な市販教材がなく試行錯誤を重ねてきた。みらいの活動や新教材には、近隣の集住都市から関心が集まっている」と説明した。
　浅井市長は「外国人移住者らの増加が今後も予想される。初期支援コースもさらに充実させたい」と話した。
【加藤広宣】