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天然漁場のアサリを守る 田原の若手漁師たち実証実験

アサリの成長を観察する漁師たち=田原市の福江漁港で
アサリの成長を観察する漁師たち=田原市の福江漁港で

 田原市渥美地域、三河湾に広がる天然漁場のアサリを守ろうと、地元の若手漁師集団「漁栄会」が、稚貝の定着から市場出荷レベルまでアサリを成長させる実証実験に取り組んでいる。
 プランクトンの影響や食害、貧酸素などによる漁獲量の減少で、先行きが不安という漁場現場。漁獲量確保を安定化し、地域の代表的水産業であるアサリ漁を守るため、約2年前に始めた試みに漁師たちは確実な手応えを感じている。
 実証実験は大きく分けて2つ。1つ目は、アサリの出荷時などに用いる袋状の漁網(約50㌢四方)に、大アサリを砕いた破片、カキ殻を粉砕し加工した粒状の固形物・ケアシェル、内海の砂利などの材料を入れ、口を縛り海底に沈める栽培養殖的な方法。
 網に入れる材料は1種類だけの場合や、配合量を調整して複数種類を混ぜた場合など、いくつものパターンを応用する。網の中では稚貝が定着し始め、一定期間が経つとアサリの成長が見られる。
 保護された環境で育つアサリは、海中生物による食害や成長過程での悪影響、ストレスなどを受けない分、養分を蓄えて身入りの大ぶりな良質のアサリに育つ。成長速度も通常の期間と比べて1・5~2倍程度早いという。
 現在、福江漁港周辺で数地点に分けて300~400網を設置して経過を見守っており、すでに1網当たり約1~2㌔分相当のアサリが市場へ出荷可能なレベルまで成長することが分かっている。
 2つ目は、成長したアサリを網で覆った長方形のカゴに入れ、海中に吊り下げる“垂下式”と呼ばれる方法で、アサリの成長を促す蓄養などを主な目的としている。
 これらの取り組みを実用化させるには、漁業法が定める区画漁業権(一定海域内で養殖業を可能にする)を得て、漁業として正式に認められる必要があるため、県への申請と認可を現状の目標に置いている。
 同会の元代表・中川佳久さん(37)は「予想以上の手応え」とこれまでの経過観察を振り返る。続けて、より若い漁師たちの将来のためにも「(アサリを)採るだけの時代は終わり。このままだと渥美のアサリが採れなくなり、食べられなくなる。漁師全体が安定して暮らしていけるように努力していきたい」と危機感と期待感を話す。
(千葉敬也)

 田原市渥美地域、三河湾に広がる天然漁場のアサリを守ろうと、地元の若手漁師集団「漁栄会」が、稚貝の定着から市場出荷レベルまでアサリを成長させる実証実験に取り組んでいる。
 プランクトンの影響や食害、貧酸素などによる漁獲量の減少で、先行きが不安という漁場現場。漁獲量確保を安定化し、地域の代表的水産業であるアサリ漁を守るため、約2年前に始めた試みに漁師たちは確実な手応えを感じている。
 実証実験は大きく分けて2つ。1つ目は、アサリの出荷時などに用いる袋状の漁網(約50㌢四方)に、大アサリを砕いた破片、カキ殻を粉砕し加工した粒状の固形物・ケアシェル、内海の砂利などの材料を入れ、口を縛り海底に沈める栽培養殖的な方法。
 網に入れる材料は1種類だけの場合や、配合量を調整して複数種類を混ぜた場合など、いくつものパターンを応用する。網の中では稚貝が定着し始め、一定期間が経つとアサリの成長が見られる。
 保護された環境で育つアサリは、海中生物による食害や成長過程での悪影響、ストレスなどを受けない分、養分を蓄えて身入りの大ぶりな良質のアサリに育つ。成長速度も通常の期間と比べて1・5~2倍程度早いという。
 現在、福江漁港周辺で数地点に分けて300~400網を設置して経過を見守っており、すでに1網当たり約1~2㌔分相当のアサリが市場へ出荷可能なレベルまで成長することが分かっている。
 2つ目は、成長したアサリを網で覆った長方形のカゴに入れ、海中に吊り下げる“垂下式”と呼ばれる方法で、アサリの成長を促す蓄養などを主な目的としている。
 これらの取り組みを実用化させるには、漁業法が定める区画漁業権(一定海域内で養殖業を可能にする)を得て、漁業として正式に認められる必要があるため、県への申請と認可を現状の目標に置いている。
 同会の元代表・中川佳久さん(37)は「予想以上の手応え」とこれまでの経過観察を振り返る。続けて、より若い漁師たちの将来のためにも「(アサリを)採るだけの時代は終わり。このままだと渥美のアサリが採れなくなり、食べられなくなる。漁師全体が安定して暮らしていけるように努力していきたい」と危機感と期待感を話す。
(千葉敬也)

アサリの成長を観察する漁師たち=田原市の福江漁港で
アサリの成長を観察する漁師たち=田原市の福江漁港で

カテゴリー:社会・経済 / 地域・教育

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