物価高直撃で参院選候補者に「希望」求め
田原の酪農家・伊藤さん冷静に見つめ
急激な円安やウクライナ紛争の影響で物価高騰が進んでいる。負担急増にあえぐ家計や事業者にとって、参院選の大きな争点に物価高への対応が挙がる。公示から2週間が過ぎた選挙戦も投開票まで残りあと4日。かつてないコスト高に直面する事業者は今回の選挙をどう見ているのか。
田原市石神町の伊藤立さん(69)が営む酪農場では、ホルスタインの成牛160頭をはじめ子牛など約270頭を飼育している。えさとなる飼料は「粗飼料」と呼ばれる干し草などと、トウモロコシなど穀類の「濃厚飼料」を4対6の割合で混ぜ合わせる。
濃厚飼料は国と生産者による安定基金から取り崩して補い、さらに県の補助金もある。一方、粗飼料は「国産消費」をうたうため、輸入品への補助はないという。主要原料の価格も1㌔55円が最近では78円まで値上がりした。新型コロナ禍の物流事情で牧草を詰め込むコンテナは極端に減った。
さらにサプリメントとして使う添加剤や子牛用の粉末ミルクも倍近くに跳ね上がった。すべて輸入品だ。ミルクは国産品もあるが粒子が粗く、自動供給のための設備投資が膨大になるという。
電気料金値上げも追い打ちをかける。
大型ファンを回して霧を吹きつける「細霧冷房」を導入したのは約40年前。最近では屋根に太陽光パネルを敷き詰めて直射日光を遮った。
ところが契約した小売事業者は相次ぐ電気料値上げのあげく撤退方針を掲げた。送電事業者の中部電力が一時的に賄う「最終保障供給」も1年以内とされる。
伊藤さんは「人の健康に結び付く食料品。誇りを持って取り組むが、どれだけ持ちこたえられるか不透明だ」という。
候補者の訴えに「聞こえのいい対処療法ばかりが並ぶ。教育を作り直すなど少しは抜本的な将来ビジョンも描いて、希望を与えてほしいもの。これは有権者の責任でもあるが」と、痛烈だが冷静な視線を送る。
【加藤広宣】
田原の酪農家・伊藤さん冷静に見つめ
急激な円安やウクライナ紛争の影響で物価高騰が進んでいる。負担急増にあえぐ家計や事業者にとって、参院選の大きな争点に物価高への対応が挙がる。公示から2週間が過ぎた選挙戦も投開票まで残りあと4日。かつてないコスト高に直面する事業者は今回の選挙をどう見ているのか。
田原市石神町の伊藤立さん(69)が営む酪農場では、ホルスタインの成牛160頭をはじめ子牛など約270頭を飼育している。えさとなる飼料は「粗飼料」と呼ばれる干し草などと、トウモロコシなど穀類の「濃厚飼料」を4対6の割合で混ぜ合わせる。
濃厚飼料は国と生産者による安定基金から取り崩して補い、さらに県の補助金もある。一方、粗飼料は「国産消費」をうたうため、輸入品への補助はないという。主要原料の価格も1㌔55円が最近では78円まで値上がりした。新型コロナ禍の物流事情で牧草を詰め込むコンテナは極端に減った。
さらにサプリメントとして使う添加剤や子牛用の粉末ミルクも倍近くに跳ね上がった。すべて輸入品だ。ミルクは国産品もあるが粒子が粗く、自動供給のための設備投資が膨大になるという。
電気料金値上げも追い打ちをかける。
大型ファンを回して霧を吹きつける「細霧冷房」を導入したのは約40年前。最近では屋根に太陽光パネルを敷き詰めて直射日光を遮った。
ところが契約した小売事業者は相次ぐ電気料値上げのあげく撤退方針を掲げた。送電事業者の中部電力が一時的に賄う「最終保障供給」も1年以内とされる。
伊藤さんは「人の健康に結び付く食料品。誇りを持って取り組むが、どれだけ持ちこたえられるか不透明だ」という。
候補者の訴えに「聞こえのいい対処療法ばかりが並ぶ。教育を作り直すなど少しは抜本的な将来ビジョンも描いて、希望を与えてほしいもの。これは有権者の責任でもあるが」と、痛烈だが冷静な視線を送る。
【加藤広宣】